大規模修繕で雨漏りは直る?侵入口・調査・外壁・防水から工事範囲を決める方法

『大規模修繕で雨漏りは直る?侵入口・調査・外壁・防水から工事範囲を決める方法』
をご紹介させて頂きます!
大規模修繕を行えば、すべての雨漏りが自動的に直るわけではありません。
雨漏りを止めるには、雨水が建物へ入っている場所と、その原因に対応する工事範囲を確認する必要があります。屋上防水・外壁・シーリング・サッシ周辺・バルコニーなど複数の箇所が候補になるため、「雨漏りしている場所=修繕する場所」とは限りません。
大規模修繕では、現在・過去の雨漏り履歴と調査結果を、今回の工事範囲へつなげられているかが重要です。
大規模修繕で雨漏りを直すには、
「何を工事するか」より先に
どこから雨水が入っている可能性があるか
を確認します。
雨漏りは3つの地点に分けて考える
目次
- 雨漏りした場所を補修すれば直る?
- その水は本当に雨漏り?配管漏水との違いを先に切り分ける
- マンションの雨水はどこから入る可能性がある?
- 最上階だから屋上防水が原因とは限らない
- 外壁のひび割れ・目地があれば、そこが雨漏り原因?
- サッシ周り・外壁目地のシーリングも調査対象になる?
- バルコニーの雨漏りは「床面」だけ見ればよい?
- マンションの雨漏り調査では何を確認する?
- 雨漏りが起きたときは何を記録しておく?
- 雨漏り履歴は見積前に施工会社へ伝える
- 管理組合が把握していない雨漏りはない?
- 部分補修か広い範囲の改修かはどう決める?
- 「防水工事あり」だけでは雨漏り対応済みとは判断しない
- 雨漏りが起きたらすべて保証対象になる?
- 大規模修繕後に雨漏りした場合、すぐ施工不良と判断しない
- 雨漏りを工事計画へ反映するために施工会社へ渡したい4つの情報
- まとめ|雨漏りは「水が出た場所」ではなく「雨水が入った場所」から工事範囲を決める
- 大規模修繕と雨漏りに関するよくある質問
雨漏りした場所を補修すれば直る?
水滴や染みが確認された場所は「雨漏りの症状が出た場所」であり、必ずしも雨水の侵入口ではありません。室内側を補修するだけでは、雨水が建物へ入る原因への対処にならない場合があります。
まず「水が見えた場所」から一段戻ります。
その場所は雨水の入口ではなく、建物内部を通ってきた水が最終的に現れた出口かもしれません。
雨水は、外壁・屋上・シーリング・サッシ周辺・バルコニー・設備貫通部等から入り、内部の下地や空間等を通って別の位置へ現れる可能性があります。
雨漏り修繕では、症状が現れた場所の補修と、雨水が入る原因への対処を分けて考えます。工事範囲を決める前に、入口・経路・出口の関係を整理することが重要です。
その水は本当に雨漏り?配管漏水との違いを先に切り分ける
室内に水が出ているからといって、必ず雨水が外部から入っているとは限りません。給水・排水等の配管からの漏水など、別の原因も考えられるため、発生状況を整理してから調査します。
一般に雨漏りでは、降雨等に伴って建物外部から水が侵入している可能性を確認します。
一方、漏水では、給水管・排水管・設備配管等から水が出ている可能性を確認します。
ただし、見た目だけで原因を決めることはできません。
管理組合が最初に集めたい情報は、次のようなものです。
- 雨の日に発生したか
- 降雨中か、降雨後か
- 晴天時にも発生するか
- 水が継続しているか
- どこに水滴・染み等が現れたか
- 近くに給排水設備・配管等があるか
- 過去に同じ場所で症状があったか
この情報は原因を管理組合自身で確定するためではなく、調査対象を整理するために使います。
配管側の管理区分や工事範囲については、別記事「大規模修繕の配管はどこまで工事する?共用部・専有部の境界と給水・排水管の確認ポイント」も参考にしてください。
マンションの雨水はどこから入る可能性がある?
雨水の侵入口は屋上だけとは限らず、外壁・シーリング・サッシ周辺・バルコニー・取り合い部等も確認対象になる場合があります。建物の構造・仕様・劣化状況によって候補は異なります。
次に建物の外側へ視点を移します。
雨漏り調査では、原因ランキングを作るのではなく、建物の上部から下部まで、雨水が入る可能性のある位置を整理していきます。
雨水の入口候補を上から見る
この順番は、「上にある場所ほど雨漏りしやすい」というランキングではありません。
建物ごとに仕様・劣化状況・過去の施工履歴が異なるため、原因候補を漏れなく整理するための見方です。
最上階だから屋上防水が原因とは限らない
最上階住戸で雨漏りが発生していても、屋上防水だけが唯一の原因候補とは限りません。屋上、防水立上り、外壁、各部の取り合い等を含めて、雨漏り位置との関係を確認します。
最上階で天井から水が出ると、「屋上防水が悪いのでは」と考えやすくなります。
屋上は重要な確認対象ですが、それだけで原因を確定しません。
屋上周辺では、状況に応じて次のような部分が確認対象になります。
- 防水層
- 立上り
- 端部
- 設備基礎周辺
- 外壁との取り合い
- その他の接合部等
屋上防水そのものの改修判断については、大規模修繕の屋上防水はいつ必要?全面改修か部分補修かの判断基準をご覧ください。
外壁のひび割れ・目地があれば、そこが雨漏り原因?
外壁にひび割れ・シーリング劣化・タイル等の劣化が見つかっても、それだけで雨漏りの侵入口とは断定できません。雨漏りが発生している位置と、外部劣化との関係を調べて工事範囲を考えます。
外壁調査では、さまざまな劣化が確認される場合があります。
しかし、劣化が見つかったことと、そこが今回の雨漏り原因であることは別です。
特に管理組合として避けたいのは、「ひび割れがあったから、ここを埋めれば雨漏りも直る」と原因確認を飛ばしてしまうことです。
見るべきなのは、
- 雨漏りの発生位置
- 外壁の劣化位置
- その周辺の構造・納まり
- 過去の補修履歴
- 今回行う外壁工事の範囲
です。
大規模修繕の外壁工事全体については、大規模修繕の外壁工事とは?下地補修・タイル・シーリング・塗装の確認方法をご確認ください。
サッシ周り・外壁目地のシーリングも調査対象になる?
外壁目地やサッシ周辺のシーリングは、雨水侵入を確認するときの調査対象になる場合があります。ただし、シーリングが劣化しているという事実だけで、そこが雨漏り原因とは判断しません。
確認するのは、シーリングだけではありません。
- シーリングの劣化位置
- 雨漏りが現れた場所との位置関係
- 周辺外壁の状態
- サッシ・開口部周辺
- 過去の補修履歴
などを合わせて見ます。
シーリング工事自体については、大規模修繕のシーリング工事|打ち替え・増し打ち・サッシ周りの確認をご覧ください。
バルコニーの雨漏りは「床面」だけ見ればよい?
バルコニー周辺で水が侵入している可能性がある場合、防水床だけでなく立上り・排水周辺・外壁との取り合い・サッシ周辺等も確認対象になる場合があります。
「バルコニー付近から雨漏りしている」と分かっても、それだけで床防水の全面改修が必要とは判断できません。
反対に、見える部分だけを部分補修すれば十分とも限りません。
バルコニー周辺では、複数の部位が接しているため、どの位置から水が入る可能性があるのかを整理してから工事項目を決めることが重要です。
バルコニー防水については、マンション大規模修繕のバルコニー防水に関する記事も参考にしてください。
雨漏りで避けたい3つの即断
→ 屋上だけでなく、建物外部全体との位置関係を確認します。
→ 劣化箇所が見つかったことと、雨漏り原因であることは同じではありません。
→ 雨漏りの原因に対応する箇所が、今回の工事範囲へ入っているかを確認します。
マンションの雨漏り調査では何を確認する?
雨漏り調査では、水が出た場所だけではなく、発生時の雨の状況・外部劣化・図面・過去の雨漏りや補修履歴等を整理し、原因箇所を絞り込んでいきます。
雨漏りは、現地へ行けば必ずその場で原因が見つかるとは限りません。
特に調査時に雨が止んでいる場合は、実際に水が出ていた状態をそのまま確認できないことがあります。
そのため、調査では次のような情報を組み合わせます。
- 室内側の症状確認
- 建物外部の目視確認
- 外壁等の調査結果
- 建物図面
- 過去の雨漏り記録
- 過去の修繕・補修履歴
- 必要に応じた専門的な調査
散水調査等が原因箇所を確認するための調査方法の一つとして検討されることもありますが、一つの調査方法だけで必ず原因を特定できるとは限りません。
大規模修繕前の建物全体の状態確認については、マンション大規模修繕の建物診断に関する記事も併せてご覧ください。
雨漏りが起きたときは何を記録しておく?
雨漏りが発生したときは、原因を住民側で判断するのではなく、「いつ・どこで・どのように水が出たか」を記録します。症状が消えた後でも、施工会社や調査担当が状況を追いやすくなります。
雨漏りが起きたら残したい6つの情報
この記録は「住民が雨漏り原因を判定するための資料」ではありません。
雨が止んだ後でも、調査担当者が発生時の状況を追えるようにするための資料です。
マンションの雨漏りは、室内で水が見えた場所だけでは工事範囲を決められない場合があります。
外壁・屋上・シーリング等を含めて原因候補と修繕範囲を整理したい場合は、雨漏り履歴や建物状況を確認しながら検討します。
雨漏り履歴は見積前に施工会社へ伝える
大規模修繕前に雨漏りが発生している、または過去に雨漏りした履歴がある場合は、できるだけ見積・工事範囲を決める前に施工会社等へ伝えます。
整理したいのは、現在発生している雨漏りだけではありません。
- 現在の雨漏り
- 過去に発生した雨漏り
- 同じ場所での再発履歴
- 過去に行った補修内容
- その後の経過
なども、工事範囲を検討する材料になります。
見積・工事範囲が固まった後で「この住戸は以前から雨漏りしていました」と分かると、調査や仕様を改めて整理する必要が生じる場合があります。
ただし、過去に一度雨漏りした場所を、必ず今回工事するという意味ではありません。現在の状態と原因候補を確認して判断します。
管理組合が把握していない雨漏りはない?
マンション内の雨漏り履歴が、必ず管理組合へすべて集約されているとは限りません。大規模修繕前の住戸アンケート等で、過去の雨漏り・漏水・窓周辺からの水侵入等を確認する方法もあります。
居住者によっては、過去の症状を、
- 管理会社だけへ連絡した
- 以前の理事会へ伝えた
- 住戸側で補修した
- 現在は止まっているため改めて報告していない
という場合も考えられます。
そのため、大規模修繕前の住戸アンケートに、雨漏りや水侵入の履歴を確認する項目を入れることも検討できます。
建物診断だけでなく、「どの住戸で、どのような雨のときに、どこへ水が出たか」という履歴情報も工事範囲を考える手掛かりになります。
大規模修繕前の住戸アンケートについては、大規模修繕前の住戸アンケートに関する記事をご覧ください。
部分補修か広い範囲の改修かはどう決める?
雨漏りが一か所だから必ず部分補修でよいとは限らず、雨漏りがあるから全面防水・外壁全面改修が必要とも限りません。原因箇所・劣化範囲・既存仕様・周辺状態・今回の工事計画等から範囲を決めます。
原因が特定または絞り込まれた後は、その原因に対してどこまで施工する必要があるかを考えます。
判断材料は、
- 雨水侵入の原因候補
- 劣化の広がり
- 既存の防水・外壁仕様
- 過去の補修状況
- 周囲の劣化状態
- 今回の大規模修繕で予定している工事
- 今後の修繕計画
などです。
屋上については、大規模修繕の屋上防水はいつ必要?全面改修か部分補修かの判断基準、防水工事全体については、大規模修繕の防水工事とは?対象部位・工事内容・費用・見積の確認ポイントをご確認ください。
「防水工事あり」だけでは雨漏り対応済みとは判断しない
見積書に「屋上防水」「シーリング」「外壁補修」等が入っていても、既存の雨漏り原因に対応する施工が含まれているとは自動的に判断できません。雨漏り箇所と見積項目を一本の線でつなげて確認します。
雨漏りと見積を一本の線でつなぐ
たとえば屋上防水工事が見積に含まれていても、雨漏り原因候補が屋上以外にあるのであれば、その工事項目だけで既存の雨漏り対応が完了すると判断することはできません。
工事名ではなく、「どの雨漏りに対して、どの施工箇所が対応するのか」を確認します。
大規模修繕の見積全般については、マンション大規模修繕の見積内容・内訳を確認する記事も参考にしてください。
雨漏りが起きたらすべて保証対象になる?
大規模修繕後に雨漏りが起きても、すべて一律に保証対象になるとは限りません。施工範囲・保証対象部位・保証条件・原因・保証期間等を確認して判断します。
特に確認したいのは、今回の工事で実際に施工した部位と、雨水侵入の原因となった可能性がある箇所との関係です。
今回施工していない箇所を原因とする水侵入まで、施工した防水箇所等と同じ保証内容になるとは限りません。
保証全般については、大規模修繕工事の保証期間に関する記事をご確認ください。
大規模修繕後に雨漏りした場合、すぐ施工不良と判断しない
工事後に雨漏りが発生したという事実だけで、施工不良とは判断できません。水が出た場所・原因箇所・今回施工した範囲との関係を確認したうえで対応を判断します。
工事後に雨漏りが発生した場合は、
- 水が確認された場所
- 発生日・降雨状況
- 今回施工した箇所
- 雨水侵入の原因候補
- 今回の工事との位置関係
を整理します。
判断の順番は、
です。
「工事後に発生したから施工不良」と決めつけることも、「今回の工事とは無関係」と最初から除外することも避けます。
施工不良・不具合等の確認手順については、大規模修繕で施工不良が見つかったら?不具合・瑕疵・是正の確認手順をご覧ください。
雨漏りを工事計画へ反映するために施工会社へ渡したい4つの情報
管理組合が雨漏り原因を自己診断する必要はありません。管理組合の役割は、発生状況と履歴を集め、それを今回の工事範囲・見積へつなげられる状態にすることです。
雨漏りを工事計画へ反映する4つの情報
住戸・部屋・天井・壁・窓周辺等、症状が出た場所を記録します。
発生日、降雨中か降雨後か、繰り返しているか等を整理します。
過去の雨漏り、補修内容、その後の経過があればまとめます。
原因候補と今回の施工箇所・見積項目がつながっているか確認します。
ワンリニューアルでは「雨漏りがあるから防水工事」と工事名から決めません
雨漏り修繕では、水が見えた場所と雨水が入った場所が一致するとは限りません。
ワンリニューアルでは、雨漏り履歴・建物状況・外壁や防水等の状態を整理し、原因候補と今回の施工範囲・見積がつながっているか確認することを重視しています。
まとめ|雨漏りは「水が出た場所」ではなく「雨水が入った場所」から工事範囲を決める
マンションで大規模修繕を行っても、すべての雨漏りが自動的に直るわけではありません。
重要なのは、次の情報を一本につなげることです。
屋上防水を行うから、外壁を補修するから、シーリングを打ち替えるからという理由だけで、既存の雨漏りへ対応できているとは判断しません。
「雨漏りしている場所を直す」のではなく、「雨水が入った場所を確認し、その原因に対応する工事を今回の大規模修繕へ反映する」ことが重要です。
マンション大規模修繕の全体的な工事範囲を確認したい方は、マンション大規模修繕の工事内容と全体の進め方も併せてご覧ください。
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大規模修繕と雨漏りに関するよくある質問
Q.大規模修繕をすれば雨漏りは直りますか?
A.大規模修繕を行うだけですべての雨漏りが自動的に直るわけではありません。雨水の侵入口を確認し、その原因に対応する外壁・防水・シーリング等の工事が今回の施工範囲に含まれているか確認する必要があります。
Q.マンションの雨漏りはどこから入りますか?
A.雨水の侵入口は屋上、防水部、外壁、シーリング、サッシ周辺、バルコニー等さまざまな場所が候補になります。室内で水が見えた場所と侵入口が同じとは限らないため、建物状況や雨漏り履歴を含めて調査します。
Q.最上階の雨漏りは屋上防水が原因ですか?
A.最上階で雨漏りが発生していても、屋上防水だけが原因とは限りません。屋上・立上り・外壁・開口部周辺等との関係を確認し、雨水が入る場所を絞り込んでから工事範囲を決めます。
Q.大規模修繕後に雨漏りしたら施工不良ですか?
A.工事後に雨漏りが発生したという事実だけで施工不良とは判断できません。水が出た場所、原因箇所、今回施工した範囲との関係を確認したうえで、必要な対応を判断します。
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