自主管理マンションの大規模修繕はどう進める?管理会社がいない場合の資料・発注・住民対応・引き継ぎ

『自主管理マンションの大規模修繕はどう進める?管理会社がいない場合の資料・発注・住民対応・引き継ぎ』
をご紹介させて頂きます!
自主管理マンションでも、大規模修繕は実施できます。
ただし、管理会社へ管理業務を委託しているマンションとは異なり、建物資料の収集、施工会社との連絡、総会資料の準備、住民案内、契約資料の保管などについて、誰が担当するのかを管理組合側で整理する必要があります。
重要なのは「管理会社がいるかどうか」ではありません。大規模修繕に必要な業務を、誰が担当する状態になっているかです。
≠
管理業務がない
自主管理だから大規模修繕が難しい、と一律に考える必要はありません。
一方で、「管理会社へ払う費用がないから簡単」「施工会社へ直接頼めば終わる」とも限りません。
大規模修繕には、管理方式にかかわらず必要になる仕事があります。
違うのは、その仕事を誰が担当するのかです。
「誰が担当する?」
「誰が担当する?」
自主管理マンションで重要なのは、管理会社の代わりになる1社を探すことではありません。
まず、大規模修繕に必要な仕事を分解し、その一つひとつについて「誰が担うか」を決めます。
目次
- 自主管理マンションの大規模修繕で最初に確認すること
- 大規模修繕の前に、マンションに残っている資料を確認する
- 管理会社がいなくても、工事範囲を理事会の感覚だけで決めない
- 「大規模修繕一式」で発注する前に、今回やる工事を分ける
- 自主管理マンションでは誰が工事仕様を整理する?
- 自主管理なら施工会社へ直接見積を頼めばよい?
- 会社を選ぶ前に「必要な仕事」を誰が担うか決める
- 自主管理でも理事会だけで大規模修繕を決めるわけではない
- 自主管理マンションでは工事案内を誰が出す?
- 管理会社がいない場合、工事中は誰が施工会社と打ち合わせる?
- 自主管理マンションでは工事後の資料を誰が保管する?
- 自主管理マンションの「担当が空いている仕事」を確認する
- 大規模修繕を機に管理会社へ委託した方がよい?
- 施工会社へ調査・仕様・施工をまとめて任せる方法もある?
- 自主管理マンションの修繕積立金は大規模修繕前に何を確認する?
- 自主管理では役員交代時に「仕事そのもの」を引き継ぐ
- 自主管理マンションでも戸数だけで進め方は決まらない
- まとめ|自主管理マンションは「管理会社の代役」ではなく必要な業務の担当を決める
自主管理マンションの大規模修繕で最初に確認すること
最初に確認したいのは「自主管理かどうか」という名称ではなく、現在、何を管理組合内で行い、何を外部へ委託しているかです。
同じ「自主管理マンション」と呼ばれていても、実際の管理体制は同じとは限りません。
例えば、
- 会計業務だけ外部へ委託している
- 清掃は専門会社へ委託している
- 設備点検は外部へ依頼している
- 管理組合内で事務を行っている
- 一部の専門業務だけ外部支援を使っている
といった体制があります。
そのため、「自主管理だから全部を理事会でやる」とは考えません。
大規模修繕の前に、マンションに残っている資料を確認する
最初に、管理規約・長期修繕計画・過去の修繕履歴・図面・点検記録・総会議事録・保証資料等がどこまで残っているか確認します。不足がある場合は、何が不足しているのかを明確にします。
大規模修繕の工事内容を考える前に、まず現在持っている情報を整理します。
資料がないことと、大規模修繕ができないことは同じではありません。
例えば図面が不足している場合は、現地調査や既存資料等から確認が必要になる場合があります。
重要なのは「ないから進められない」と止まることではなく、何が不足し、何を別の方法で確認する必要があるのかを把握することです。
管理会社がいなくても、工事範囲を理事会の感覚だけで決めない
「前回から年数が経った」「外壁が汚れている」といった印象だけで工事範囲を決めるのではなく、必要に応じて建物診断・点検記録・修繕履歴・居住者からの不具合情報・現地確認等を整理します。
自主管理マンションだからといって、理事が外壁や防水、タイル、配管等の状態を専門判定する必要はありません。
この2つの役割を混同しないことが重要です。
建物の状態を把握する方法については、大規模修繕の建物診断に関する記事をご確認ください。
「大規模修繕一式」で発注する前に、今回やる工事を分ける
見積を依頼する前に、今回施工する範囲、今回は施工しない範囲、調査後に判断する範囲を整理します。施工会社ごとに前提条件が異なると、見積内容を比較しにくくなります。
外壁、防水、シーリング、鉄部、共用廊下、設備等、対象となる工事項目は建物によって異なります。
No.425で重要なのは工事項目を列挙することではなく、どこまでを今回の発注条件にするかを管理組合側で確認できることです。
マンション大規模修繕の工事内容や全体の進め方も併せてご確認ください。
自主管理マンションでは誰が工事仕様を整理する?
施工会社へ調査・提案を依頼する方法、設計・監理者等を配置する方法、必要な部分だけ外部専門家へ支援を依頼する方法などが考えられます。一律の正解ではなく、誰が仕様を整理し、誰が見積条件をそろえるのかを決めることが重要です。
自主管理だから施工会社がすべて作る、と決める必要はありません。
反対に、自主管理だから必ずコンサルタントや設計者を入れなければならない、というものでもありません。
先に決めたいのは「どの会社へ頼むか」ではなく、「仕様整理という仕事を誰が担当するか」です。
自主管理なら施工会社へ直接見積を頼めばよい?
施工会社へ直接相談・見積依頼をする方法はあります。ただし、それだけが進め方ではありません。また、会社ごとに異なる条件で見積を取ると、金額だけでは比較しにくくなります。
少なくとも、
- 今回の工事範囲
- 見積条件
- 提出形式
- 質問・回答の方法
は、可能な範囲でそろえます。
大規模修繕の見積内容については、マンション大規模修繕の見積内容・内訳を確認する記事をご覧ください。
相見積もりについては、大規模修繕の相見積もりに関する記事、施工会社そのものの比較については、大規模修繕の施工会社はどう選ぶ?実績・見積・現場体制・契約前の比較ポイントで確認できます。
会社を選ぶ前に「必要な仕事」を誰が担うか決める
自主管理マンションで最初に埋めたいのは、会社名ではなく業務の担当です。見積条件整理、施工会社候補の収集、質疑、契約確認、工事中の確認、住民案内など、それぞれの役割を誰が担うか整理します。
「誰へ頼むか?」より先に、「何を誰かに頼む必要があるか?」を見る。
これが、自主管理マンションの大規模修繕で特に重要な考え方です。
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
この表に正解はありません。
建物、管理組合の体制、契約方法、利用する外部支援によって担当は変わります。
空欄が残った業務が、「まだ誰が担当するのか決まっていない仕事」です。
自主管理でも理事会だけで大規模修繕を決めるわけではない
自主管理であることと、理事会が自由にすべて決められることは同じではありません。管理規約、予算、工事内容、総会決議事項、契約権限等を確認して進めます。
自主管理マンションでも、管理組合としての意思決定手続きは必要です。
管理規約については、別記事「大規模修繕で管理規約はどこを見る?分譲マンションの共用部分・費用負担・総会前の確認ポイント」で整理しています。
総会決議については、大規模修繕の総会決議とは?管理組合が承認までに準備すべき内容と進め方をご覧ください。
工事請負契約については、大規模修繕の工事請負契約書とは?契約図書・工事範囲・金額・工期・支払・保証の確認方法で確認できます。
施工会社へ連絡した人と、契約上の主体を混同しない
見積依頼や打合せを理事長が担当していたとしても、理事長個人の工事になるわけではありません。
管理組合としての承認・契約・記録を残します。
自主管理マンションでは工事案内を誰が出す?
施工会社が工事内容や工程の案内を作成する場合もありますが、管理組合側で誰が内容を確認し、掲示・配布・問い合わせ調整を行うか決めておきます。
大規模修繕中には、
- 工事説明会
- 工程案内
- バルコニーの片付け
- 窓の開閉制限
- 洗濯物の制限
- 断水・停電
- 住戸内立入り
- 通行制限
- 問い合わせ対応
等の情報提供が必要になる場合があります。
住民案内については、大規模修繕の住民案内に関する記事をご確認ください。
施工会社へ住民対応を任せる場合も、管理組合の判断まで全部任せるとは限らない
施工会社が工事上の問い合わせや日程案内を担う場合があります。
一方、
- 管理規約に関係する判断
- 共用部分の使用ルール
- 区分所有者からの個別要望
- 住戸情報の扱い
- 管理組合として決める事項
まで施工会社だけで判断するとは限りません。
工事の問い合わせと、管理組合としての判断を分けます。
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
管理会社がいない場合、工事中は誰が施工会社と打ち合わせる?
施工会社との窓口を整理し、工程・住民対応・追加工事・仕様変更・検査・支払・施工記録等について、誰が情報を受け取り、誰が確認し、誰が必要な承認を行うか決めます。
重要なのは、毎回違う理事が施工会社へ別々の回答をしないことです。
窓口担当者が「受け取りました」と返答しただけで、仕様変更や追加工事が正式承認されたことにはしません。
施工会社から明日、
「追加工事の見積を確認してください」
と連絡が来た場合、あなたのマンションでは、
① 誰が受け取る?
② 誰が内容を確認する?
③ 誰が承認する?
④ 誰が施工会社へ回答する?
この4つが決まっていますか?
工事中の情報は「受信→確認→判断→返信」で整理する
変更契約については、大規模修繕の変更契約とは?追加・減額・工期・承認内容の確認方法をご確認ください。
工事定例会については、大規模修繕の工事定例会に関する記事へつなげて確認できます。
管理組合側が施工技術をすべて判定することが目的ではありません。
定例会等では、
- 何が決まったか
- 何がまだ決まっていないか
- 費用へ影響するか
- 工程へ影響するか
- 住民生活へ影響するか
- 次回までに誰が何をするか
を追えるようにします。
自主管理マンションでは工事後の資料を誰が保管する?
管理組合として、次回の修繕時にも確認できる保管方法を決めます。工事請負契約、完成図書、保証書、変更記録、施工写真、検査資料等について、原本・データの保管場所と引き継ぎ方法を明確にします。
特に避けたいのは、役員交代後に、
「誰も資料の場所を知らない」
という状態です。
完成後の資料は、次の大規模修繕まで長期間使われる可能性があります。
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
完成図書については、大規模修繕の完成図書とは?管理組合が引渡し時に確認・保管したい資料と修繕履歴をご覧ください。
役員交代時の資料・決定事項・未決事項の引き継ぎについては、別記事「大規模修繕中に理事会・理事長が交代したら?分譲マンションの引き継ぎ資料・決定事項・契約管理」で詳しく整理しています。
自主管理マンションの「担当が空いている仕事」を確認する
最後に、管理会社の有無ではなく、大規模修繕に必要な各業務へ担当者が付いているか確認します。ここで空欄になる仕事が、これから管理組合内または外部支援によって埋める必要のある業務です。
大規模修繕 担当確認シート
空欄がある仕事が、「まだ担当者のいない業務」です。
自主管理マンションの大規模修繕では、管理会社の有無そのものより、資料整理・見積・契約・住民案内・施工中の確認を誰が担当するかを先に整理することが重要です。現在の管理体制と手元の資料を確認しながら、施工会社へ見積を依頼する前の工事範囲や役割分担を整理できます。
大規模修繕を機に管理会社へ委託した方がよい?
大規模修繕があるという理由だけで、管理方式そのものを変更すべきとは一律に判断できません。まず確認したいのは「現在の体制で不足している業務は何か」です。
不足している業務が分かれば、管理方式全体を変えるのではなく、その業務だけ外部へ依頼する方法も考えられます。
例えば、
- 見積条件の整理だけ支援を受ける
- 建物調査を外部へ依頼する
- 設計・監理等を依頼する
- 施工会社へ調査・仕様・施工をまとめて相談する
などです。
大規模修繕の依頼先については、大規模修繕工事の依頼先はどこ?会社の種類・役割・選定条件を一覧で比較をご覧ください。
施工会社へ調査・仕様・施工をまとめて任せる方法もある?
施工会社へ調査・提案・見積・施工まで相談する進め方もあります。ただし、自主管理マンションだからその方法が必ず最適というわけではありません。
責任施工方式等については、大規模修繕の責任施工方式に関する記事をご確認ください。
設計・監理者等へ仕様整理や施工確認を依頼する方法については、大規模修繕の設計監理方式に関する記事をご覧ください。
どの方式を選ぶ場合でも、管理組合側で、
「この業務を誰に依頼するのか」
を理解して決めることが重要です。
自主管理マンションの修繕積立金は大規模修繕前に何を確認する?
修繕積立金の残高、今後予定されている修繕、今回の工事予算、支払管理、承認記録等を確認します。自主管理であることだけを理由に、資金状況を良い・悪いと判断することはできません。
また、高額な工事費を支払う場合は、
という支払管理も整理します。
特定の一人だけが金額・請求・支払状況を知っている状態へ依存しないことが重要です。
自主管理では役員交代時に「仕事そのもの」を引き継ぐ
決定事項や契約資料だけでなく、「誰が何の業務を担当しているか」も次の理事会へ引き継ぎます。
例えば前年度に施工会社との窓口を担当していた理事が交代する場合、連絡先だけを渡して終わりにはしません。
- 現在の未回答事項
- 次回の打合せ
- 承認待ちの内容
- 資料の保管場所
- 施工会社等との連絡方法
をセットで渡します。
自主管理マンションでも戸数だけで進め方は決まらない
「小規模だから簡単」「戸数が多いから管理会社が必須」と戸数だけで進め方を決めることはできません。管理組合が担う業務量と、利用できる外部支援を見て体制を考えます。
同じ戸数でも、
- 建物の形状
- 設備の種類
- 今回の工事内容
- 管理組合内の担当体制
- 既に利用している外部委託
- 保有している資料
等によって必要な業務量は変わります。
ワンリニューアルでは、自主管理マンションだから「この方式」と一つに決めるのではなく、現在の管理体制と工事内容を確認したうえで、資料・工事範囲・見積・契約・住民対応・工事中の確認を誰が担うか整理することを重視しています。
まとめ|自主管理マンションは「管理会社の代役」ではなく必要な業務の担当を決める
自主管理マンションでも、大規模修繕は実施できます。
重要なのは、管理会社がいるか、いないかだけではありません。
自主管理マンションの大規模修繕で必要なのは、「管理会社の代役」を探すことではありません。
大規模修繕に必要な業務を分解し、それぞれの担当を決めることです。
不足している業務が分かれば、管理組合内で担うのか、施工会社へ依頼するのか、設計・監理等の外部支援を利用するのかを検討できます。
マンション大規模修繕の全体像を確認することで、今回整理した8つの業務が、大規模修繕全体のどこにつながるのかも確認できます。
分譲マンション向けの大規模修繕については、分譲マンションの大規模修繕サービスもご覧ください。
「管理会社がいないため何から整理すればよいか分からない」「施工会社へ見積を依頼する前に工事範囲を整理したい」「理事会・施工会社・外部支援の役割分担を決めたい」など、現在の管理体制と手元の資料から大規模修繕の進め方を整理できます。
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