責任施工方式と設計監理方式の違い|大規模修繕の発注方式・費用・選び方

大規模修繕の責任施工方式と設計監理方式の違いは、「施工会社へ一括で任せるか、専門家を入れるか」という説明だけでは十分ではありません。実際には、建物調査、修繕設計、見積条件作成、施工会社選定、工事監理、追加工事確認などの業務を、誰へどこまで委託するかが異なります。
責任施工方式だから早い、設計監理方式だから透明という結果が自動的に決まるわけではありません。どちらの方式でも、業務範囲、成果物、費用、事業者選定の手順、利益相反への対応を契約前に確認します。
この記事では、管理組合、理事会、修繕委員会が作成したい業務分担表、総事業費比較表、成果物一覧、契約前チェック項目を整理します。
目次
- 責任施工方式と設計監理方式の違いは「誰が何を担当するか」
- 国土交通省調査の割合は、方式の優劣や推奨順位ではない
- 責任施工方式の業務範囲を契約書で確認する
- 設計監理方式の業務範囲を契約書で確認する
- 調査・設計・施工会社選定・工事監理の役割を分ける
- 「工事監理」と「施工管理」を混同しない
- 費用は工事費だけでなく総事業費で比較する
- 発注方式だけで工期や準備期間は決まらない
- 透明性は方式名ではなく選定・記録・開示の手順で確認する
- 設計コンサルタントの中立性は自動的に決まらない
- 責任施工方式でも複数社の提案・見積を比較できる
- 設計監理方式でも施工会社選定の手順を確認する
- 工事中の数量変更・追加工事を誰が確認するか決める
- 契約前に成果物一覧を作る
- 委託契約書で確認したい項目
- 管理組合の人数やマンション規模だけで方式を決めない
- 責任施工方式と設計監理方式を確認項目で比較する
- 管理組合が発注方式を決める9つの手順
- 一棟オーナーと分譲マンションでは意思決定手順が異なる
- 足場施工会社を母体とする視点で確認したいこと
- 責任施工方式と設計監理方式に関するよくある質問
- まとめ|方式名ではなく、業務分担・成果物・選定手順で決める
責任施工方式と設計監理方式の違いは「誰が何を担当するか」
責任施工方式では、施工会社、建設会社、管理会社などが、調査、修繕内容の提案、仕様の整理、見積、施工までを広く担当する場合があります。
設計監理方式では、調査、修繕設計、仕様書作成、施工会社選定支援、工事監理などを専門家へ委託し、施工工事を別の会社へ発注する形が一般的です。ただし、いずれも具体的な業務範囲は契約によって異なります。
施工会社等が担当する調査、設計的な整理、見積、工事中の確認、住民対応、引渡し資料の範囲を確認します。
専門家が担当する調査、設計、会社選定支援、工事監理、数量確認、検査、住民説明支援の範囲を確認します。
- 調査・修繕設計を誰へ委託するか
- 見積条件・仕様書・数量表を誰が作るか
- 施工会社を誰がどの手順で選ぶか
- 工事中の材料・進捗・数量を誰が確認するか
- 追加工事・仕様変更を誰が説明し、誰が承認するか
施工会社、管理会社、設計事務所という会社属性だけで発注方式を判断せず、契約書、業務仕様書、成果物一覧を確認します。
国土交通省調査の割合は、方式の優劣や推奨順位ではない
国土交通省の令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査では、818件の工事事例について、設計・監理方式80.1%、責任施工方式12.6%などの分布が示されています。
ただし、この調査は設計コンサルタント業務や施工の受注実績を有する企業から収集した工事事例の集計です。全国のすべての大規模修繕工事における市場占有率や、管理組合へ示す推奨順位ではありません。
- 設計監理方式が多いことを、個別マンションへの推奨理由にしない
- 責任施工方式が少ないことを、不適切である根拠にしない
- 工事規模や戸数だけで方式を決める資料として使わない
- 調査年度、対象事例、回答企業の条件を確認する
- CM方式、ECI方式など、ほかの発注・支援方式も選択肢として整理されている
公的資料の使用方法
採用割合は方式の分布を確認する資料として扱い、費用、品質、選定手順、個別契約への適合性は、対象マンションの資料と提案書で別に確認します。
責任施工方式の業務範囲を契約書で確認する
責任施工方式を「すべてを一社へ任せる方式」とだけ説明すると、調査、仕様書、数量表、工事中の確認、追加費用の扱いが見えにくくなります。
調査や提案が工事契約へ含まれるのか、別契約なのか、工事中の数量確認を誰が行うのかを一項目ずつ整理します。
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| 責任施工方式で確認する業務 | 実施者 | 契約に含むか | 主な成果物 | 管理組合の確認方法 |
|---|---|---|---|---|
| 既存資料の整理 | 未確認確認中確認済み | 資料一覧 | 不足資料と担当を確認 | |
| 建物調査・診断 | 未確認確認中確認済み | 調査報告書 | 調査範囲・方法を確認 | |
| 工事範囲の提案 | 未確認確認中確認済み | 工事範囲表 | 対象・対象外を確認 | |
| 仕様・数量の整理 | 未確認確認中確認済み | 仕様書・数量表 | 算出根拠を確認 | |
| 工事見積 | 未確認確認中確認済み | 見積内訳 | 別途・実数清算を確認 | |
| 施工計画 | 未確認確認中確認済み | 施工計画書・工程表 | 住民影響と工程を確認 | |
| 工事中の確認 | 未確認確認中確認済み | 進捗・検査記録 | 報告頻度と確認者を決める | |
| 数量・仕様変更 | 未確認確認中確認済み | 増減表・位置図 | 承認前後を記録 | |
| 検査・引渡し | 未確認確認中確認済み | 完了報告書・保証書 | 受領資料を照合 |
施工会社そのものの比較基準は、大規模修繕の施工業者を見積・体制・保証から選ぶ方法で確認してください。
設計監理方式の業務範囲を契約書で確認する
設計監理方式でも、調査、設計、施工会社選定支援、工事監理、数量確認、住民説明のすべてが契約へ含まれるとは限りません。
「工事監理一式」「コンサルタント業務一式」という名称だけで判断せず、実施時期、成果物、会議回数、対象外業務、追加費用を確認します。
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| 設計監理業務 | 契約に含むか | 実施時期 | 主な成果物 | 対象外・追加費用 |
|---|---|---|---|---|
| 建物調査・診断 | 未確認確認中確認済み | 調査報告書 | ||
| 修繕設計 | 未確認確認中確認済み | 図面・工事仕様書 | ||
| 数量算出・概算費用 | 未確認確認中確認済み | 数量表・概算書 | ||
| 施工会社募集 | 未確認確認中確認済み | 募集・見積要項 | ||
| 現場説明・質疑回答 | 未確認確認中確認済み | 質疑回答書 | ||
| 見積比較・選定支援 | 未確認確認中確認済み | 比較表・評価表 | ||
| 工事監理 | 未確認確認中確認済み | 監理報告書 | ||
| 数量・仕様変更確認 | 未確認確認中確認済み | 増減一覧・変更記録 | ||
| 検査・引渡し確認 | 未確認確認中確認済み | 検査・是正・完了資料 |
建物調査の内容は、大規模修繕前の建物調査と劣化診断、工事範囲の決め方は、大規模修繕の工事範囲と修繕方法の決め方で整理しています。
調査・設計・施工会社選定・工事監理の役割を分ける
発注方式を決めるときは、準備から引渡しまでの業務を段階別に並べ、実施者、契約相手、報告先、承認者を確認します。
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| 業務段階 | 主な業務 | 責任施工方式の例 | 設計監理方式の例 | 管理組合の確認事項 |
|---|---|---|---|---|
| 準備 | 資料整理、体制づくり | 管理組合・施工会社等 | 管理組合・専門家等 | 役割表と決議事項 |
| 調査 | 現地調査、診断 | 施工会社等 | 設計者・専門家等 | 調査範囲と成果物 |
| 設計 | 工事範囲、仕様、数量 | 施工会社等 | 設計者等 | 仕様書・数量表 |
| 見積 | 工事費の算出 | 当該施工会社等 | 複数施工会社等 | 条件がそろっているか |
| 施工会社選定 | 比較、評価、候補決定 | 別途手順を設定 | 専門家が支援する場合 | 選定ルール・評価記録 |
| 契約 | 委託・工事契約 | 管理組合―施工会社 | 専門家契約と工事契約 | 契約相手と対象業務 |
| 工事中 | 進捗、材料、検査 | 施工会社内の管理・報告等 | 施工管理と別契約の監理等 | 報告・承認の範囲 |
| 変更管理 | 数量、仕様、費用 | 契約ルールで確認 | 監理者等が確認する場合 | 最終承認者 |
| 引渡し | 完了、保証、資料 | 施工会社等 | 施工会社・監理者等 | 成果物一覧との照合 |
管理組合、管理会社、施工会社の情報共有は、管理会社・施工会社・管理組合の役割と情報共有をご覧ください。
「工事監理」と「施工管理」を混同しない
工事監理、施工管理、現場管理、管理会社、管理組合は、似た表記でも役割が異なります。
- 工事監理:委託契約等に基づき、工事が設計図書等と照合されているかを確認する業務として使われることがあります。
- 施工管理:施工会社が工程、品質、安全、原価、協力会社等を管理する業務として使われます。
- 現場管理:会社や契約によって意味する範囲が異なるため、具体的な業務を確認します。
- 管理会社:マンション管理業務を担いますが、工事監理者や施工管理者になるとは限りません。
記事や契約書では「設計管理方式」ではなく、原則として「設計監理方式」と表記します。資格、指示権限、検査範囲などは契約内容と関係法令を個別に確認します。
費用は工事費だけでなく総事業費で比較する
責任施工方式の工事見積に調査・設計的な業務が含まれている場合と、設計監理方式で調査費・設計費・監理費が別契約になる場合では、費用の表示方法が異なります。
設計監理費が別項目だから高い、工事費に含まれているから安いとは判断せず、含まれる業務と成果物をそろえて総事業費を比較します。
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| 費用区分 | 責任施工方式 | 設計監理方式 | 比較時の確認 |
|---|---|---|---|
| 調査・診断費 | 工事費に含むか、別契約か | ||
| 修繕設計・数量算出 | 仕様書・数量表の有無 | ||
| 施工会社選定支援 | 募集・比較・ヒアリングの範囲 | ||
| 工事監理費 | 確認対象、頻度、報告書 | ||
| 施工工事費 | 同じ工事範囲・仕様か | ||
| 住民説明支援 | 資料作成・出席回数 | ||
| 追加調査 | 追加となる条件 | ||
| 追加工事・実数清算 | 増額・減額・承認条件 | ||
| 外部助言・法務確認 | 必要な場合のみ計上 | ||
| 総事業費 | 税込・税別と対象期間をそろえる |
責任施工方式と設計監理方式を比較するときは、方式名ではなく、調査、修繕設計、見積条件作成、施工会社選定、工事監理、追加工事確認を誰へ委託するか一覧にします。現在の長期修繕計画や委託提案書がある場合は、業務範囲・成果物・費用を同じ表で整理できます。
発注方式だけで工期や準備期間は決まらない
準備期間は、調査範囲、成果物の量、施工会社の募集方法、理事会・総会の日程、資金計画、住民説明などによって変わります。
責任施工方式だから短期間、設計監理方式だから長期間と決めず、必要な工程を方式ごとに並べます。
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| 工程 | 責任施工方式で確認すること | 設計監理方式で確認すること |
|---|---|---|
| 体制決定 | 一括・分割して委託する範囲 | 専門家へ委託する範囲 |
| 資料・調査 | 施工提案や見積との関係 | 設計業務との関係 |
| 工事範囲 | 提案書・見積条件 | 設計成果物・概算費用 |
| 施工会社選定 | 複数社比較・評価手順 | 募集・質疑・比較手順 |
| 総会 | 工事内容・費用・契約説明 | 委託契約と工事契約の整理 |
| 着工準備 | 施工計画・住民説明 | 施工計画確認・住民説明支援 |
| 工事中 | 施工会社の報告・社内確認等 | 施工管理と監理報告の区分 |
| 引渡し | 施工会社から受け取る資料 | 施工資料と監理資料 |
検討開始から引渡しまでの予定は、大規模修繕の準備期間・会社選定・工事工程をご覧ください。
透明性は方式名ではなく選定・記録・開示の手順で確認する
事業者選定の過程を確認するときは、募集方法、評価基準、評価者、議事録、関係会社、再委託、紹介料や業務提携の有無などを整理します。
設計監理方式だから選定過程が明確になる、責任施工方式だから情報が見えにくくなるとは限りません。どの方式でも、意思決定の手順と記録を残します。
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| 確認項目 | 確認する内容 | 主な資料 | 確認状況 |
|---|---|---|---|
| 候補者の募集 | 公募、指名、紹介等の方法 | 募集要項・候補一覧 | 未確認確認中確認済み |
| 評価基準 | 価格、体制、技術、住民対応等 | 評価表 | 未確認確認中確認済み |
| 評価者・決定者 | 誰が評価し、誰が決定するか | 体制図・議事録 | 未確認確認中確認済み |
| 資本・人的関係 | 候補会社間の関係 | 開示資料 | 未確認確認中確認済み |
| 取引・報酬関係 | 紹介料、継続取引、費用負担 | 申告・契約資料 | 未確認確認中確認済み |
| 再委託 | 業務を再委託する会社と範囲 | 再委託一覧 | 未確認確認中確認済み |
| 住民への説明 | 選定理由と比較内容 | 議案書・説明資料 | 未確認確認中確認済み |
設計コンサルタントの中立性は自動的に決まらない
設計事務所やコンサルタントが施工会社とは別の契約相手であっても、資本関係、人的関係、継続的な取引、紹介料、再委託などを確認します。
- 見積依頼先を誰が決めるか
- 施工会社との資本・人的・取引関係
- 施工会社から費用や報酬を受け取る関係の有無
- 利益相反に当たる可能性がある場合の開示方法
- 選定や評価から外れる条件
- 秘密保持とデータの取扱い
一方で、利益相反の可能性があることを理由に、設計事務所やコンサルタント全体を評価・批判するものではありません。責任施工方式でも、協力会社、再委託先、提案条件、追加費用の関係を確認します。
責任施工方式でも複数社の提案・見積を比較できる
責任施工方式を、特定の一社へそのまま発注する方式と固定しません。管理組合側で基本条件を整理し、複数の施工会社へ調査、提案、見積を依頼する方法もあります。
- 共通の調査資料・工事条件を各社へ提示する
- 各社が独自に調査する範囲を明記する
- 工事範囲、数量、材料、足場条件を比較する
- 提案書の作成費、不採用時の費用を確認する
- 提案書・図面・数量表の利用条件を確認する
各社の提案内容が異なる場合は、総額だけで比較しません。詳しくは、相見積もりで工事範囲・数量・仕様をそろえる方法と、大規模修繕の見積内訳を同じ条件で比較する方法をご覧ください。
設計監理方式でも施工会社選定の手順を確認する
設計監理方式を選んだ場合も、施工会社の募集・選定方法が自動的に決まるわけではありません。
特命随意契約、見積合わせ、条件提示型、提案型、指名、公募、価格競争、総合評価などから、管理組合の体制と工事内容に合わせて手順を整理します。
- 募集条件、参加資格、提出書類
- 見積条件と対象外項目
- 価格・技術・体制等の評価項目
- ヒアリング参加者と質問事項
- 辞退・失格・除外の条件
- 評価結果と最終決定の記録
施工業者の評価項目は、大規模修繕の施工業者を見積・体制・保証から選ぶ方法で確認してください。
工事中の数量変更・追加工事を誰が確認するか決める
下地補修、タイル補修、防水下地、鉄部、隠ぺい部などは、工事中に数量や工法の確認が必要になる場合があります。
提出、確認、説明、承認、減額確認の担当を契約前に決めます。
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| 変更項目 | 施工会社 | 監理者・専門家 | 管理組合 | 必要資料 |
|---|---|---|---|---|
| 数量増減 | 数量・根拠を提出 | 契約範囲で確認 | 金額・内容を承認 | 数量表、位置図、写真 |
| 工法変更 | 変更案と理由を提出 | 仕様との整合を確認 | 変更を承認 | 変更理由、仕様書 |
| 材料変更 | 代替材料を提示 | 性能・適用条件を確認 | 採用を承認 | 製品資料、比較表 |
| 工期変更 | 更新工程を提出 | 工事・検査への影響を確認 | 住民説明等を確認 | 更新工程表 |
| 追加費用 | 追加見積を提出 | 数量・単価等を確認 | 契約ルールで承認 | 追加見積、根拠資料 |
| 減額 | 精算資料を提出 | 減少数量を確認 | 最終精算を確認 | 減額一覧、数量表 |
追加費用の手続きは、大規模修繕の追加費用と承認ルール、下地補修の数量確認は、下地補修の想定数量と実数清算の仕組みをご覧ください。
契約前に成果物一覧を作る
「調査します」「工事監理を行います」という説明だけでなく、提出物の名称、形式、提出時期、確認者を決めます。
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| 成果物 | 作成者 | 提出時期 | 管理組合の確認者 | 契約に含むか |
|---|---|---|---|---|
| 既存資料一覧・調査報告書 | 未確認確認中確認済み | |||
| 工事範囲表・劣化位置図 | 未確認確認中確認済み | |||
| 工事仕様書・図面 | 未確認確認中確認済み | |||
| 数量表・概算工事費 | 未確認確認中確認済み | |||
| 見積要項・質疑回答書 | 未確認確認中確認済み | |||
| 見積比較表・評価表 | 未確認確認中確認済み | |||
| 施工計画書・工程表 | 未確認確認中確認済み | |||
| 監理・進捗・検査報告書 | 未確認確認中確認済み | |||
| 数量増減・変更一覧 | 未確認確認中確認済み | |||
| 完了報告書・保証書 | 未確認確認中確認済み |
委託契約書で確認したい項目
- 業務名、業務範囲、業務期間
- 担当者、資格、交代時の手続き
- 成果物、提出形式、提出時期
- 会議・現地確認・報告の回数
- 施工会社選定支援、住民説明支援の範囲
- 工事監理、数量確認、検査の対象
- 追加業務と追加費用の条件
- 再委託先と再委託する業務
- 費用、支払条件、契約解除
- 利益相反に関する申告・開示
- 秘密保持、図面・データの利用条件
- 保険、損害、紛争時の対応
- 業務完了の確認方法と引継ぎ
契約条項の有効性、損害賠償、責任範囲などの法務判断は、必要に応じて弁護士等へ確認します。
管理組合の人数やマンション規模だけで方式を決めない
修繕委員会がない、小規模マンションである、工事項目が多いといった一つの条件だけで、発注方式を決めるものではありません。
体制が不足する場合は、業務全体を一括委託する以外にも、必要な部分だけ支援を受ける方法があります。
- 修繕委員会や理事会内の担当者を決める
- 調査・修繕設計だけを専門家へ委託する
- 見積比較・会社選定支援だけを委託する
- 工事監理だけを別契約にする
- マンション管理士等へ運営支援を依頼する
- 外部助言を必要な段階だけ利用する
管理組合の体制づくりは、大規模修繕を検討する管理組合の体制づくり、理事会・修繕委員会が決める事項は、大規模修繕で管理組合・理事会が決めることをご覧ください。
責任施工方式と設計監理方式を確認項目で比較する
方式の勝敗を決める表ではなく、契約前に確認する項目を並べます。
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| 比較項目 | 責任施工方式で確認すること | 設計監理方式で確認すること | 管理組合の判断材料 |
|---|---|---|---|
| 調査担当 | 誰がどの範囲を調査するか | 調査契約の対象範囲 | 調査報告書 |
| 設計担当 | 誰が仕様・数量を整理するか | 設計者の業務・成果物 | 仕様書・数量表 |
| 施工会社選定 | 複数社比較と評価方法 | 専門家が関与する範囲 | 選定要項・評価表 |
| 費用 | 工事費に含む業務 | 設計監理費と工事費 | 総事業費比較表 |
| 見積比較 | 各社提案の条件差 | 統一条件の範囲 | 見積比較表 |
| 工事中の確認 | 施工管理・社内確認・報告 | 工事監理の対象と頻度 | 進捗・監理報告書 |
| 追加費用 | 数量・単価・承認手順 | 監理者等の確認範囲 | 増減表・承認記録 |
| 利益相反 | 関連会社・協力会社・再委託 | 施工会社との関係・報酬 | 関係会社等の開示資料 |
| 住民説明 | 誰が資料を作成・説明するか | 専門家が支援する範囲 | 説明資料・議事録 |
| 引渡し | 施工会社からの提出資料 | 施工資料・監理確認資料 | 成果物一覧 |
見積取得前の整理事項は、見積取得前に理事会で整理したい論点、住民への説明資料は、大規模修繕の住民説明会で準備したい資料をご覧ください。
管理組合が発注方式を決める9つの手順
事例を確認するときは、大規模修繕事例で工事範囲・発注・費用を見る方法も参考にしてください。
一棟オーナーと分譲マンションでは意思決定手順が異なる
一棟オーナーは責任施工方式、分譲マンションは設計監理方式という分類は行いません。違いは、意思決定、資金、説明、記録の手順です。
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| 確認項目 | 分譲マンション | 一棟オーナー |
|---|---|---|
| 意思決定 | 理事会・総会等 | 個人・法人内の決裁 |
| 説明対象 | 区分所有者・居住者 | 社内・金融機関・入居者等 |
| 資金 | 修繕積立金、借入等 | 手元資金、借入、物件収支等 |
| 選定記録 | 議事録、比較表、議案書 | 稟議・比較資料等 |
| 工事時期 | 合意形成と総会予定を調整 | 保有・運営計画等と調整 |
| 発注方式 | 業務分担・契約・選定手順を確認 | 必要業務と社内体制を確認 |
足場施工会社を母体とする視点で確認したいこと
発注方式にかかわらず、足場計画図と外壁、防水、シーリング、高所鉄部などの本体工事範囲を照合します。
責任施工方式では、足場、本体工事、住民動線、資材搬入を誰が一括して調整し、管理組合へ報告するかを確認します。設計監理方式では、仮設条件を誰が設計条件へ反映し、施工会社の足場計画を誰が確認するかを整理します。
足場設置後に数量が変わる下地補修等については、施工会社が提出する数量・写真・位置図を誰が確認するか、足場解体前の高所確認と是正確認を誰が記録するかを成果物一覧へ入れます。
ワンリニューアルでは、足場施工会社を母体とする視点から、方式名ではなく、仮設計画、本体工事、数量変更、住民動線、足場解体前確認の担当範囲を整理します。
足場計画の確認項目は、足場計画図・住民動線・工程の確認ポイント、工事中の責任分担は、大規模修繕工事の責任分担と連絡・承認フローをご覧ください。
責任施工方式と設計監理方式に関するよくある質問
責任施工方式と設計監理方式はどちらが安いですか?
方式名だけでは判断できません。調査、設計、選定支援、監理、施工、追加費用を含む総事業費と、含まれる業務・成果物を比較します。
責任施工方式は工期が短くなりますか?
必ず短くなるとは限りません。調査、見積比較、総会、資金計画、契約、住民説明を含めた工程を比較します。
設計監理方式なら選定過程が明確になりますか?
方式だけでは決まりません。仕様書、数量表、募集方法、評価表、利益相反に関する開示、議事録を確認します。
責任施工方式では相見積もりを取れませんか?
複数の施工会社へ基本条件や提案条件を示して比較する方法があります。各社の調査範囲、提案範囲、数量、費用を確認します。
設計監理方式なら施工会社から独立した立場ですか?
契約相手が別会社であっても、資本・人的・取引関係や報酬関係を確認します。
管理会社へすべて任せてもよいですか?
管理会社が担当する調査、設計、選定、工事中の確認、住民対応、成果物、施工会社との関係を契約書で確認します。
設計監理費は工事費の何%ですか?
一定割合だけでは判断できません。調査、設計、選定支援、監理の業務範囲、工期、成果物、会議・確認回数を確認します。
小規模マンションは責任施工方式が向いていますか?
戸数だけでは決まりません。必要な業務、資料、管理組合体制、工事内容、外部支援の範囲から検討します。
修繕委員会がない場合は責任施工方式ですか?
修繕委員会の有無だけでは決まりません。理事会、管理会社、マンション管理士、設計者等の支援体制を整理します。
設計監理方式なら追加費用をなくせますか?
追加費用が生じないことを保証するものではありません。数量、単価、写真、位置図、承認手順、減額条件を契約前に決めます。
責任施工方式では工事監理を行わないのですか?
施工会社内部の施工管理・検査や、別途委託する確認業務など、契約内容によって異なります。担当者と報告内容を確認します。
発注方式は総会で決める必要がありますか?
管理規約、委託内容、予算、契約条件によって確認が必要です。議案作成・配布に必要な期間も含めて整理します。
まとめ|方式名ではなく、業務分担・成果物・選定手順で決める
責任施工方式と設計監理方式に絶対的な優劣はありません。違いは、調査、修繕設計、施工会社選定支援、工事監理、施工、数量変更の確認を、誰へどこまで委託するかにあります。
発注方式の名称だけで、費用、品質、期間、選定過程は決まりません。責任施工方式では施工会社等が担当する業務範囲を、設計監理方式では専門家へ委託する業務と成果物を確認します。
費用は工事費だけでなく、調査費、設計費、選定支援費、工事監理費、施工費、追加調査、実数清算を含む総事業費で比較します。
施工会社やコンサルタントの選定では、募集方法、評価基準、議事録、資本・人的・取引関係、再委託先を確認します。追加工事、仕様変更、数量増減については、提出者、確認者、説明者、承認者、減額確認者を契約前に決めます。
最後に、業務分担表と成果物一覧を契約書へ反映し、工事中も担当者・提出物・変更内容を更新します。






