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管理会社が管理者を務めるマンションの大規模修繕|発注・契約・利益相反・情報開示の確認ポイント

管理組合・合意形成 2026.09.15 (Tue) 更新

管理会社が管理者を務めるマンションの大規模修繕|発注・契約・利益相反・情報開示の確認ポイント

 

今回は

『管理会社が管理者を務めるマンションの大規模修繕|発注・契約・利益相反・情報開示の確認ポイント』

をご紹介させて頂きます!

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管理会社等が「管理者」を務めるマンションでも、大規模修繕は実施できます。

管理方式が変わっても、建物の状態を確認し、工事範囲を整理し、見積を確認し、施工会社を決め、契約し、施工・検査するという大規模修繕の基本的な流れがなくなるわけではありません。

ただし、管理者と日常の管理業務を担う会社が同じ場合や、その会社・関係会社が施工会社選定や工事受注にも関係する場合は、「誰が提案したか」「誰が比較したか」「誰が承認したか」「誰と契約したか」を分けて確認することが重要です。

管理業者管理者方式だから問題がある、または問題がないと決めるのではなく、管理規約・管理者事務の契約・管理委託契約・大規模修繕の発注資料を照合します。

2026年9月時点の制度確認

国土交通省の「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」は2026年4月1日に改訂されています。国土交通省では、区分所有者以外の外部者が管理者となる方式を外部管理者方式として扱い、そのうちマンション管理業者が管理者となる場合を「管理業者管理者方式」と整理しています。

また、管理業者管理者方式に対応した「マンション標準管理者事務委託契約書」「マンション標準管理委託契約書」「マンション標準管理規約の書き換え表」も公表されています。ただし、標準資料は個別マンションの管理規約・実際の契約そのものではありません。最終的には、そのマンションで現在有効な規約・契約・総会決議を確認します。

確認するのは会社名ではありません。

その会社が、その場面で
「何の立場にいるか」を確認します。

同じ会社名でも「3つの役割」を分けて見る

役割 1 管理者 誰がマンションの管理者として、管理組合の業務執行や契約等に関わるのかを確認します。
役割 2 管理業務 日常の管理事務を誰が受託し、どこまでを管理委託契約で担当しているかを確認します。
役割 3 大規模修繕 誰が工事を提案し、候補会社を集め、見積を比較し、発注・監理・施工するのかを確認します。

会社名が一つでも、3つの役割を一つにまとめて考えないことがNo.430の出発点です。

目次

管理業者管理者方式のマンションでも大規模修繕できますか?

できます。管理方式にかかわらず、建物状態、工事範囲、見積、施工会社、契約、施工・検査等を整理します。ただし、管理者・管理業者・施工会社選定等に同じ事業者が関わる場合は、契約・発注経路・必要な承認・情報提供を分けて確認します。

管理業者管理者方式を採用しているからといって、管理会社が大規模修繕のすべてを自由に決定するという意味ではありません。

反対に、管理会社が複数の役割を担っていることだけで、その発注方法が不適切だと判断することもできません。

大規模修繕で確認したいのは、

  • 誰が工事の必要性を提案したか
  • その提案にはどのような根拠があるか
  • 誰が建物診断を行ったか
  • 誰が工事仕様を整理したか
  • 誰が施工会社候補を集めたか
  • 誰が見積を比較したか
  • 誰が必要な承認を行ったか
  • 誰が発注者として契約したか
  • 誰が工事を確認したか

という一連の流れです。

管理業者管理者方式では、まず誰がマンションの「管理者」か確認する

まず管理規約、管理者選任に関する資料、管理者事務に関する契約、管理委託契約、総会議事録等から、現在の「管理者」が誰なのか確認します。会社名を知るだけではなく、管理者としてどの業務・権限を担っているかまで確認します。

「管理会社が入っている」という事実と、

その管理会社が管理者に選任されている

という事実は別です。

管理会社が管理者を務めている場合でも、日常の管理業務を受託する立場と、管理者として行う業務を一つの言葉でまとめないようにします。

同じ管理会社でも3行に分けて確認

管理者として 管理規約・管理者事務に関する契約等で、権限・業務・承認との関係を確認
管理業者として 管理委託契約で、日常管理・理事会や総会支援等の委託範囲を確認
大規模修繕で 工事提案・会社選定・見積比較・契約・施工確認へどこまで関与するか確認
あなたのマンションで「管理者」は誰か、
現在の契約・規約を見ながら説明できますか?

管理者としての業務と、管理会社としての業務は同じ?

同じものとして一括せず、実際の契約内容を分けて確認します。管理者として受託する事務と、日常の管理業務として受託する事務では、根拠となる契約や業務範囲が異なる場合があります。

確認資料としては、

  • 現在有効な管理規約
  • 管理者の選任に関する総会資料・議事録等
  • 管理者事務に関する契約
  • 管理委託契約
  • 業務仕様書
  • 大規模修繕に関する個別の委託契約

などがあります。

「管理会社へ委託しています」という一言だけでは、誰がどこまで大規模修繕へ関与するのか確認できません。

管理業者管理者方式でも、個別マンションのルールの基礎になるのは管理規約です。管理者の権限、総会との関係、工事発注に関係する規定を確認します。

管理方式が分かったら、
次は「今回の大規模修繕の発注経路」を追います。

大規模修繕を最初に提案したのは誰?

管理者、管理会社、管理組合側、修繕委員会、設計者、施工会社等、提案の入口はマンションごとに異なります。重要なのは提案者の名称ではなく、何を根拠に工事を提案したかを確認することです。

例えば「そろそろ大規模修繕が必要です」という提案が出たときは、

  • 長期修繕計画
  • 建物診断
  • 定期点検記録
  • 過去の修繕履歴
  • 漏水・不具合等の記録
  • 現地調査
  • 概算見積

など、提案の根拠を確認します。

「誰が言ったか」だけではなく、「何を根拠に言ったか」まで確認します。

工事の提案と発注決定は同じではない

管理会社等から「大規模修繕を実施しましょう」と提案されたとしても、そこからすぐ工事請負契約へ進むとは限りません。

工事を提案した

候補施工会社を決めた

見積を承認した

工事請負契約を締結した

この4つを分けることが、管理業者管理者方式の大規模修繕を整理するときの重要なポイントです。

確認ゲート 1|提案 誰が大規模修繕を提案した?

確認ゲート 2|比較 誰が施工会社候補・工事仕様・見積を比較した?

確認ゲート 3|承認 誰が、どの手続きで必要な承認を行った?

確認ゲート 4|契約 誰が発注者となり、誰と工事契約を結んだ?

同じ管理会社が複数のゲートに登場する場合もあります。

それだけで問題と判断するのではなく、各ゲートでどの立場として関与しているか、どの資料と承認があるかを確認します。

※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。

関係者管理者として確認すること管理業務として確認すること工事発注で確認すること施工・監理で確認すること
管理会社管理者へ選任されている場合は、管理規約・管理者事務契約上の権限を確認管理委託契約に含まれる日常管理・修繕支援等を確認提案・候補提示・見積比較・契約への関与範囲を確認施工者・監理者となるかは別契約・体制を確認
管理組合・区分所有者管理者への権限付与・監督・必要な意思決定の仕組みを確認管理会社へ委託している業務と管理組合に残る判断を確認工事内容・費用・候補会社・発注経路等の判断資料を確認完成・引渡し・保証・記録を管理組合資料として確認
修繕委員会等管理者権限との関係、委員会に与えられた役割を確認管理会社との情報共有・検討範囲を確認候補比較・質疑・提案等への関与範囲を確認工事中に確認する事項・報告を受ける範囲を確認
設計・監理者通常は管理者そのものとは分けて契約関係を確認管理業務との重複・連携範囲を確認診断・仕様・会社選定・見積比較等の委託範囲を確認工事監理・検査等の契約業務を確認
施工会社通常は管理者とは分けて確認通常の管理業務との契約関係がある場合は別途確認どの経路で候補となり、誰と工事契約するか確認請負工事の施工・施工管理体制等を確認

これは「誰が担当するべきか」を固定した表ではありません。

そのマンションの規約・契約・発注方式に沿って、どの欄を誰が担っているのか確認するための表です。

管理会社が管理者なら施工会社も管理会社が決めるのですか?

一律には決まりません。管理規約、管理者の権限、管理者事務に関する契約、管理委託契約、施工会社選定手続、総会決議等を確認します。候補会社を提示することと、最終的に発注を決めることは分けて考えます。

施工会社候補の集め方には、

  • 管理会社から候補会社を提示してもらう
  • 設計・監理者等が候補を提示する
  • 管理組合・修繕委員会が候補会社を探す
  • 公募する
  • 過去の取引会社を候補とする

などがあります。

どの方法が常に正しいというものではありません。

確認するのは、候補施工会社がどの経路で入ったかです。

今回の施工会社候補を、
最初に候補として挙げたのは誰ですか?

管理会社から紹介された会社であること自体を、不適切と判断する必要はありません。

一方で、紹介されたことだけを理由に契約へ進むのではなく、候補化した理由、会社実績、工事条件、見積条件、比較方法、関係会社かどうか、誰が最終判断したかを確認します。

管理会社のグループ会社へ大規模修繕を発注してもよいですか?

関係会社であることだけで適否を判断しません。会社間の関係、最新制度上の手続、情報提供、施工会社の選定方法、見積条件、管理規約、契約、必要な承認等を確認します。

重要なのは、

「関係会社だから問題」
と決めることではなく、

関係性

選定方法

見積条件

必要な手続

情報提供

承認

契約

を追えるようにすることです。

国土交通省の現行ガイドラインや標準契約書でも、管理業者が管理者となる場合の利益相反取引等について、管理組合の利益を損なわないための手続・情報提供・承認等を確認する考え方が示されています。

ただし、個別の取引が法的にどのような扱いになるかは、実際の契約関係・当事者関係・規約等によって異なります。

「利益相反」という言葉で疑うことを目的にするのではなく、管理組合側から発注経路を確認できる状態にします。

大規模修繕の発注経路は1本の矢印で考えない

誰が提案したか、誰が契約したか、誰へ支払うかは別の線です。一つの矢印に「提案・契約・支払」を全部まとめず、情報の流れと契約関係を分けます。

区分所有者・管理組合

管理者の権限・役割を確認

工事の必要性・根拠を確認

施工会社候補・見積を比較

必要な承認を確認

工事請負契約
契約の線 誰と誰が、何の業務について契約しているか
情報の線 誰が誰へ、工事内容・候補会社・見積・関係性等を説明するか
資金の線 誰に、何の契約・業務に対して費用を支払うのか

同じ会社名が複数の線へ登場しても、それぞれ何の契約・業務なのかを分けて確認します。

管理会社から提出された大規模修繕見積はどう確認する?

「管理会社経由だから高い・安い」と判断しません。施工会社、工事範囲、仕様、数量、仮設、諸経費、管理支援、設計・監理費、契約相手等を分けて確認します。

さらに重要なのが、

誰の業務に対する費用が、どの契約へ入っているのか

です。

見積内に施工以外の費用が含まれていたとしても、すべてを「中間マージン」とまとめることはできません。

例えば、

  • 管理組合支援
  • 設計
  • 工事監理
  • 元請としての管理
  • 現場管理
  • 諸経費

など、実際の業務内容を確認します。

費用の名称だけではなく、業務内容と契約を照合します。

大規模修繕の見積そのものについては、マンション大規模修繕の見積内容・内訳を確認する記事をご覧ください。

※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。

工程実行者として特定する内容確認機能確認する資料残したい決定・承認記録
工事提案誰が大規模修繕の実施を提案したか提案根拠を誰が確認したか長期修繕計画・点検・修繕履歴等検討開始の経緯・会議記録
建物診断誰が調査・診断を担当したか調査範囲・目的を誰が確認したか調査計画・診断報告・写真等調査結果を工事へ反映した記録
候補会社選定誰が候補施工会社を集めたか候補化理由・関係性を誰が確認したか募集条件・候補一覧・会社資料等候補選定過程・除外理由等
見積比較誰が見積を比較・整理したか数量・仕様・予算等を誰が確認したか見積・仕様書・質疑回答等比較条件・評価内容
施工会社決定誰が最終候補を決定したか必要な承認経路を確認評価資料・見積・議案等選定理由・承認記録
契約発注者・受注者を特定契約権限・承認との整合を確認工事請負契約書・議事録等契約日・金額・範囲・承認内容
追加工事誰が必要性・金額を提示したか誰が必要性・予算・権限を確認したか追加見積・変更資料・契約等承認・変更契約・施工記録
最終支払誰が請求・支払処理を行うか完成・契約・金額を誰が確認したか完成資料・請求書・契約書等完成確認・支払記録

同じ会社や担当者が複数の工程へ入っていること自体を問題と決める表ではありません。

同じ主体が複数の役割を担う場合ほど、契約・情報提供・確認・承認の経路を追えるようにします。

管理会社が管理者なら、大規模修繕を総会へ諮らなくてもよい?

一律には言えません。管理規約、管理者の権限、工事内容、予算、契約、これまでの総会決議、最新法令等を確認します。「管理者がいる」という理由だけで区分所有者の意思決定が不要になるわけではありません。

管理者がどこまで業務を執行できるかと、総会等による意思決定が必要な範囲は、個別の管理規約・契約・工事内容等を確認します。

そのため、No.430では「大規模修繕なら必ずこの決議」「この金額なら管理者だけで決められる」といった一律の基準は設けません。

総会での大規模修繕の承認については、大規模修繕の総会決議とは?管理組合が承認までに準備すべき内容と進め方をご確認ください。

管理業者管理者方式では誰が管理者を確認する?

監事、総会、区分所有者への情報提供、第三者確認等の確認機能が考えられますが、個別マンションの規約・契約・運用によって異なります。「監事が全部確認する」「理事会が必ず確認する」と役職名だけで判断しません。

確認したいのは、

  • 管理者の業務執行を誰が確認するのか
  • 区分所有者へどの情報が提供されるのか
  • 施工会社選定・契約に関係する確認機能があるか
  • 利益が相反する可能性のある取引をどのような手続で扱うか
  • 必要に応じ外部専門家を使う場合、何を確認してもらうのか

です。

また、管理業者管理者方式だからすべてのマンションで理事会が存在しない、とも限りません。

理事会があるかないかだけではなく、誰がどの判断機能を持っているかを確認します。

区分所有者は大規模修繕で何を確認すればよいですか?

工事の必要性、工事範囲、候補施工会社、見積、発注経路、契約相手、管理者・管理会社・施工会社の関係、必要な承認、完成後の記録が一つの流れとして追えるかを確認します。

情報開示は、資料の枚数を増やすことが目的ではありません。

大量の資料があっても、区分所有者が「なぜこの施工会社なのか」「誰が決めたのか」を確認できなければ、判断材料として使いにくくなります。

誰が

何を提案し

なぜその会社となり

いくらで契約し

誰が承認したか

がつながる資料にします。

管理者事務・管理業務・大規模修繕工事は契約書を分けて見る

契約書に同じ会社名が出てきても、契約の目的が違えば同じ契約ではありません。管理者事務、管理業務、大規模修繕工事を分け、誰が委託者・発注者で、誰が受託者・受注者なのか確認します。

契約 1|管理者事務 委託する側:管理組合等の契約主体を確認 受託する側:管理者事務を受託する者を確認 目的:管理者として行う事務・権限・報酬等を確認
契約 2|管理業務 委託する側:管理組合等の契約主体を確認 受託する側:管理事務を受託する管理業者を確認 目的:日常管理・会計・清掃・点検・管理支援等を確認
契約 3|大規模修繕工事 発注する側:工事請負契約上の発注者を確認 受注する側:工事を請け負う施工会社を確認 目的:工事範囲・金額・工期・契約条件等を確認

同じ会社名が登場しても、3つの契約を同じものとして扱いません。

工事請負契約の内容については、大規模修繕の工事請負契約書に関する記事をご覧ください。

設計・監理者を入れる場合は誰が選ぶ?

管理業者管理者方式だから選定者が一律に決まるわけではありません。候補を誰が出したか、誰が契約するか、業務範囲、施工会社との関係、報酬、成果物等を確認します。

設計・監理者が入る場合も、

  • 誰が候補を提示したか
  • 何を基準に選定したか
  • 誰が委託契約を結ぶか
  • 何を設計・監理する契約か
  • 施工会社選定へどこまで関わるか
  • 工事中に何を確認するか

を確認します。

設計監理方式そのものについては、大規模修繕の設計監理方式に関する記事をご覧ください。

大規模修繕の発注経路を12項目で追う

管理会社等が複数の立場で関わっている場合は、会社名から判断するのではなく、工事の開始から完成までを順番に追います。同じ会社が複数項目に入っても、それだけで問題とはせず、契約・情報提供・承認方法を照合します。

大規模修繕 発注経路トレースシート

① 工事を最初に提案した人・会社 長期修繕計画・点検記録・建物診断等、提案の根拠まで確認
② 建物診断を行った人・会社 調査担当者・調査範囲・依頼者・報告書を照合
③ 工事仕様を整理した人・会社 誰が工法・材料・工事範囲を決める資料を作ったか確認
④ 候補施工会社を集めた人・会社 候補会社の入口・紹介関係・募集条件を確認
⑤ 見積を比較した人・会社 工事範囲・数量・仕様・条件を同じ基準で見ているか確認
⑥ 最終候補を決めた人・組織 選定理由と必要な決定手続を確認
⑦ 承認した会議・手続 管理規約・予算・総会等との関係を確認
⑧ 工事請負契約の発注者 契約書の発注者名義と契約権限を確認
⑨ 工事請負契約の受注者 実際に誰が工事を請け負っているか確認
⑩ 工事監理・検査の担当 施工会社の施工管理と、発注者側の監理・検査を分けて確認
⑪ 関係会社・資本関係等 管理者・管理会社・施工会社等の関係を確認できる資料を整理
⑫ 完成・支払を確認した人 完成確認・請求・支払・引渡し資料の確認経路を整理

同じ会社が複数項目へ入ったら「問題」と判断するのではなく、契約・情報提供・承認方法を確認します。

管理会社等が管理者を務めるマンションでは、会社名だけで大規模修繕の発注構造を判断せず、工事提案・建物診断・候補会社選定・見積比較・承認・契約を誰が担当したかを分けて整理することが重要です。

現在の管理規約、管理委託契約、工事見積、総会資料から、今回の発注経路を確認できます。

工事が始まった後は誰が施工会社へ指示する?

施工会社へ誰でも自由に指示するのではなく、契約上の発注者、連絡窓口、管理者、設計・監理者、施工会社、変更承認者等の関係を確認します。連絡した人と、契約内容を変更できる人は同じとは限りません。

施工会社へ連絡した人

工事内容・金額の変更を承認できる人

工事が始まると、現場では日々さまざまな連絡が発生します。

その中には、

  • 単なる日程連絡
  • 施工上の確認
  • 仕様変更
  • 施工数量の増減
  • 追加工事
  • 工事費の変更

が混在します。

連絡窓口と、契約変更・追加費用を承認する権限を分けておきます。

追加工事は誰が承認する?

管理者がいるから、すべての追加工事をその場で承認できるとは限りません。工事内容、金額、契約、予算、管理規約、承認権限、必要な決議等を確認します。

追加工事は、管理業者管理者方式の発注構造が見えやすい場面です。

例えば施工会社から追加提案が出た場合、

  • 誰へ追加見積が提出されるのか
  • 誰が工事の必要性を確認するのか
  • 誰が金額・数量を確認するのか
  • 誰が予算を確認するのか
  • 誰に承認権限があるのか
  • どのような変更契約・記録を残すのか

を確認します。

追加工事については、大規模修繕の追加工事に関する記事もご確認ください。

追加工事の内容や金額が変わったとき、
承認方法をどの規約・契約・議事録で確認できる状態になっていますか?

※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。

発生事項施工会社からの連絡経路確認する機能承認方法の確認先残す記録
数量変更契約上の窓口・監理者等を確認数量根拠・施工範囲を確認契約・予算・権限等を確認数量変更資料・写真・承認記録
仕様変更設計・監理者等を含む連絡経路を確認変更理由・同等性・影響等を確認仕様書・契約・承認権限等を確認変更仕様・理由・承認記録
追加工事追加提案を受ける窓口を確認必要性・数量・金額・既契約範囲を確認規約・予算・契約・必要な決定手続を確認追加見積・承認・変更契約・施工記録
工程変更現場・監理・管理側の連絡経路を確認工期・住民影響・他工程への影響を確認契約条件・管理側の承認範囲を確認工程表・変更理由・周知記録
工事費変更変更見積の提出経路を確認金額根拠・工事内容との対応を確認予算・契約・承認手続を確認変更見積・比較・承認・契約記録
完成確認完成報告を受ける窓口を確認施工結果・検査・未了事項を確認契約上の引渡し・支払条件を確認検査・引渡し・支払・完成図書

「管理者が決めた」だけで工事記録を終わらせない

完成後に残したいのは、担当者の名前だけではなく、どの資料を根拠に、どの手続きで、何を決めたのかという判断経路です。

大規模修繕後は、

  • 工事を実施した根拠
  • 施工会社の選定過程
  • 最終見積
  • 必要な承認・議事録
  • 工事請負契約
  • 追加・変更履歴
  • 施工写真
  • 検査結果
  • 保証書
  • 最終支払

などをつなげて残します。

人の記憶ではなく、判断経路を保存します。

管理者が変わった場合、大規模修繕資料はどう引き継ぐ?

管理者や管理会社が変わっても大規模修繕プロジェクトが途中で切れないよう、工事計画・見積・候補会社比較・契約・承認・変更・写真・保証・支払状況等を管理組合の資料として引き継ぎます。

管理者事務を受託する会社や担当者が将来も同じとは限りません。

そのため、完成資料を管理者・管理会社・施工会社のどこかだけに残すのではなく、管理組合として確認できる保管方法を決めます。

完成時の書類整理については、大規模修繕の完成図書とは?管理組合が引渡し時に確認・保管したい資料と修繕履歴をご覧ください。

管理業者管理者方式なら管理組合の負担は必ず減る?

制度の採用によって役員業務等の負担が変わる場合はありますが、負担軽減・専門性向上・工事費低減・トラブル減少などを一律に保証することはできません。

反対に、外部者が管理者になる方式だから危険、工事費が必ず高くなる、区分所有者が何も決められなくなる、と判断することもできません。

No.430で見るのは方式への評価ではなく、

実際の規約

実際の契約

実際の発注経路

実際の承認記録

です。

最後に「3つの役割」をもう一度確認する

大規模修繕の発注経路を確認した後、最初の3つの役割へ戻ります。管理者、管理業務、大規模修繕が、誰のどの契約でつながっているか確認できれば、会社名だけでは見えなかった構造が整理できます。

管理者の役割 誰が管理者で、規約・契約上どの権限と業務を持つか
管理業務の役割 誰が日常の管理事務を受託し、どこまで支援するか
大規模修繕の役割 誰が提案・診断・仕様・比較・承認・契約・施工・監理を担うか

同じ会社が複数の役割を担っているかどうかより、各場面の立場と判断経路を説明できるかを確認します。

ワンリニューアルでは、管理業者管理者方式や外部管理者方式を採用していることだけで大規模修繕の発注方法を評価するのではなく、管理規約・管理者事務・管理委託契約・建物診断・見積・施工会社選定・承認・工事請負契約・完成記録までをつなぎ、管理組合が判断経路を確認できる状態にすることを重視しています。

まとめ|管理業者管理者方式では「会社名」より提案・比較・承認・契約の流れを見る

管理会社等がマンションの管理者を務めている場合でも、大規模修繕の基本は変わりません。

建物の状態を確認し、今回の工事範囲を整理し、見積を比較し、必要な意思決定を行い、契約し、施工・検査します。

一方で、同じ会社が管理者・管理業者・大規模修繕の発注支援等へ関わる場合は、会社名だけを見ていると役割が分かりにくくなります。

誰が管理者?

管理者として何を担当?

誰が工事を提案?

誰が施工会社候補を集めた?

誰が見積を比較?

誰が必要な承認を行った?

誰が誰と契約?

誰が工事を確認?

誰が完成を確認?

管理組合に何を残す?

管理業者管理者方式の大規模修繕で確認したいのは、「管理会社に任せてよいか」ではありません。

提案・比較・承認・契約の各段階で、誰がどの立場にいるのかを説明できる状態にすることです。

マンション大規模修繕の工事内容と全体の進め方へ戻ることで、管理者・発注・契約の確認を、大規模修繕プロジェクト全体の中で整理できます。

分譲マンション向けの大規模修繕については、分譲マンションの大規模修繕サービスもご覧ください。

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