マンション大規模修繕の談合とは?公取委の発表を漫画でわかりやすく解説

『マンション大規模修繕の談合とは?公取委の発表を漫画でわかりやすく解説』
をご紹介させて頂きます!
2026年9月28日、公正取引委員会は、関東地区のマンション大規模修繕工事を巡り、設計コンサル会社や施工会社による受注調整について独占禁止法違反を認定しました。
ただ、公取委の発表資料を読んでも、「結局、管理組合から見ると何が起きていたの?」「相見積もりを取っていたのに、なぜ問題なの?」と分かりにくい部分があります。そこで今回は、今回公表された仕組みを漫画とやさしい文章で整理します。
公正取引委員会が公表した対象事業者、排除措置命令、課徴金などの詳細は、今回の行政措置を整理した記事で確認してください。
目次
マンション大規模修繕の談合で何が起きたの?
2026年9月28日の公取委発表では、設計コンサル会社2社と施工会社40社について、独占禁止法第3条に違反する行為が認定されました。
ニュースだけを見ると「42社が処分された」「課徴金が命じられた」という部分に目が向きますが、管理組合にとって本当に理解しておきたいのは、相見積もりのように見える場面で、どのように競争が失われていたのかという点です。
まず「普通の大規模修繕の業者選定」を確認
大規模修繕では、管理組合が設計コンサルなどの専門家へ施工会社選定の補助を依頼し、複数の施工会社から見積を取得して比較する方法があります。
ここで大切なのは、「一番安い会社を選ぶこと」ではありません。
各施工会社がそれぞれ独立して価格や提案内容を考え、管理組合が同じ条件で比較できることが、本来の相見積もりの前提です。
今回、公取委が認定した受注調整の仕組み
今回の公取委資料を管理組合向けの言葉に置き換えると、一定の工事について、施工会社が受注希望を伝えるなどして設計コンサルとの受注協力関係をつくり、その会社が受注予定者となる仕組みがありました。
さらに、受注予定者が受注できるよう、見積合わせに参加する他社が管理組合へ提示する見積価格等を調整したり、他社が見積合わせへ参加しなかったりする形が認定されています。
文章だけでは分かりにくいため、管理組合から見た流れを漫画で整理すると次のようになります。

出典:公正取引委員会「関東地区所在のマンションの管理組合が設計コンサル業者に委託して発注する大規模修繕工事の施工業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について」2026年9月28日
漫画で見る|管理組合からはどう見えていた?
今回の仕組みが分かりにくい理由は、管理組合側から見ると「複数社から見積が提出されている」という形が残っていた点です。
複数の施工会社から見積書が届けば、管理組合としては「各社が競争して価格を出している」と考えるのが自然です。
公取委は、受注予定者を決め、それ以外の施工会社がその会社の受注に協力していたと認定しています。
たとえば漫画のようにA社・B社・C社から異なる見積金額が提出されていても、その価格自体が事前に調整されていれば、それぞれの会社が独立して競争した結果とはいえません。
実際の案件の見積金額や、特定企業の見積内容を示したものではありません。
問題は「高い・安い」だけではない
今回の問題は、単純に見積価格が高かったか安かったかではありません。本来それぞれ独立して競争するはずの施工会社間で、受注予定者や見積価格等が調整され、公平な比較ができない状態になっていたことです。
仮に管理組合の予算内で、提示された金額も一見妥当に見え、その中で最も安い会社を選んだとしても、その会社があらかじめ受注予定者として決められていたのであれば、管理組合が期待していた「競争による価格・提案比較」が機能していない可能性があります。
つまり、今回理解しておきたいのは、
という点です。
設計コンサルに依頼すること自体が問題なのではない
今回の発表を見て、「設計コンサルへ依頼すると危険なのでは?」と考える必要はありません。設計コンサルには、建物調査、工事仕様の作成、見積取得支援、施工会社選定の補助、工事監理など、管理組合の専門知識を補う役割があります。
今回問題となったのは、設計コンサルを利用したこと自体ではなく、公取委が認定した受注予定者の決定、見積価格等の調整、設計予算等の情報提供などです。
大規模修繕の発注方式には複数の考え方があります。設計監理方式と責任施工方式の違いについては、責任施工方式と設計監理方式の違いで確認できます。
公取委が確認した「手数料等」とは?
公取委は審査の過程で、設計コンサル会社から施工会社へ大規模修繕工事の発注に関する情報が提供され、施工会社が工事を受注した場合に、工事請負契約金額の一定割合に相当する金銭が設計コンサル会社へ支払われていた事実も確認しています。
ただし、「手数料を支払うこと=談合」ではありません。公取委も、提供される情報の内容等によっては施工会社間の自由な競争をゆがめるおそれがある、という整理をしています。
管理組合が今回の事件から確認しておきたいこと
今回の事件を見て、管理組合が自分たちで談合の有無を判定しようとする必要はありません。まずは、施工会社選定のプロセスが管理組合から確認できる状態になっているかを見ます。
これらの確認項目に当てはまらないからといって、直ちに談合だと判断するものではありません。目的は、管理組合から見て業者選定の透明性を確認できる状態をつくることです。
大規模修繕の業者選定や見積に不安がある場合は
今回の公取委発表を見て、「現在進めている大規模修繕は大丈夫だろうか」と不安になった管理組合もあるかもしれません。
ただし、特定の会社名や見積金額だけを見て、管理組合が談合の有無を判断することは困難です。
まず確認したいのは、施工会社の募集方法、見積条件、見積内容、業者選定の経緯、設計コンサルとの関係、管理組合側の意思決定記録です。
見積そのものを比較する場合は、大規模修繕の見積を正しく比較する方法、施工会社の比較では、大規模修繕の施工会社を選ぶポイントをご覧ください。
大規模修繕では、施工会社の名前だけでなく、見積内容、工事範囲、施工体制、業者選定の進め方まで含めて確認することが重要です。
「見積をどう比較すればよいかわからない」「施工会社の選び方に迷っている」「現在の進め方について第三者の意見を聞きたい」といった段階でもご相談いただけます。
マンション大規模修繕の談合に関するよくある質問
今回公正取引委員会が認定した事案では、一部の大規模修繕工事について受注予定者をあらかじめ決め、他の施工会社がその会社の受注に協力するなどして、見積価格等を調整していました。
相見積もりは重要ですが、複数社が見積を提出しているだけで完全に防げるとは限りません。今回の事案でも、見積合わせ等に参加する会社が提示する価格等が調整されていたと公取委は認定しています。
設計コンサルへの依頼自体が問題ではありません。建物調査や仕様作成、施工会社選定補助など専門知識を補う役割があります。重要なのは、施工会社選定や見積取得の過程を管理組合側でも確認できることです。
見積金額が近いことだけで談合とは判断できません。同じ仕様・数量・施工条件で積算すれば金額が近づくこともあります。見積条件、内訳、業者選定の経緯などを合わせて確認します。
まとめ|大切なのは公平に比較できる環境をつくること
今回、公正取引委員会が問題としたのは、受注予定者や見積価格等が事前に調整され、本来あるべき施工会社間の競争が機能しなくなっていたことです。
管理組合からは複数社が見積を提出しているように見えるため、通常の相見積もりとの違いが分かりにくい点が今回の仕組みを理解するうえで重要です。
- 複数社から見積が出ていても、自由な競争とは限らない
- 問題は単純な価格の高い・安いだけではない
- 設計コンサル方式自体が問題なのではない
- 施工会社候補を誰が選んだか確認する
- 各社へ同じ条件で見積を依頼する
- 見積総額だけでなく数量・仕様・内容を比較する
- なぜその会社を選んだのか管理組合自身が説明できる状態にする
今回のニュースを「怖い事件だった」で終わらせるのではなく、管理組合側も大規模修繕の発注・見積・施工会社選定の仕組みを理解し、公平に比較できる環境をつくることが重要です。
公正取引委員会 「関東地区所在のマンションの管理組合が設計コンサル業者に委託して発注する大規模修繕工事の施工業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について」 2026年9月28日
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2026/sep/260928_daiyon.manshon.html
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