団地型・複数棟マンションの大規模修繕はどう進める?棟別工事・共用部分・費用・総会の確認ポイント

『団地型・複数棟マンションの大規模修繕はどう進める?棟別工事・共用部分・費用・総会の確認ポイント』
をご紹介させて頂きます!
団地型・複数棟マンションの大規模修繕では、すべての棟を一律に同じ工事内容・同じ時期で修繕するとは限りません。
棟ごとの築年、形状、劣化、施工数量、設備等を確認すると同時に、団地内道路・外構・共用設備など、団地全体で扱う部分も整理します。
管理組合は、最初に「団地全体で確認するもの」と「棟ごとに確認するもの」を分け、そのうえで長期修繕計画・予算・見積・総会資料をつなげることが重要です。
「全棟まとめて考えること」と
「棟ごとに分けて考えること」を使い分けます。
団地型だから全棟を必ず一括で修繕する、という考え方ではありません。
反対に、各棟を完全に別々の工事として考えればよい、とも限りません。
まず団地全体を見ます。
この段階では、A棟の外壁補修やB棟の防水数量までは見ません。
まず、「この大規模修繕は、どの建物とどの共用部分を含む計画なのか」を確認します。
A.複数棟あるが、管理・会計・修繕を一体で行っている。
B.団地全体と棟ごとで、管理・会計・意思決定の区分がある。
この2つだけで法的な管理形態を判断するわけではありません。
実際には、管理規約・団地規約等・会計・所有関係・共用部分の範囲等を確認します。
目次
- 団地型マンションの大規模修繕で最初に確認する資料
- 団地型マンションは「3つの縮尺」で大規模修繕を見る
- 団地全体で確認したい工事・条件は何?
- 同じ団地でも、棟ごとに工事内容が違うことはある?
- 団地型マンションは全棟同時に大規模修繕する?
- 団地型マンションの大規模修繕費は、全戸で同じように負担する?
- 複数棟の修繕時期は長期修繕計画でどう見る?
- 団地型マンションの大規模修繕は誰が決める?
- 複数棟マンションの見積は、総額だけ比較してよい?
- 団地マップに工事情報を載せる
- 棟数が多いと大規模修繕の工期も長くなる?
- 複数棟工事では住民案内も棟ごとに分ける?
- 団地内道路・外構も大規模修繕の計画に入れる?
- 劣化が進んでいる棟だけ先に大規模修繕できる?
- 最後に、もう一度団地全体へ戻る
- まとめ|団地型マンションは「全体」と「棟別」を行き来して考える
団地型マンションの大規模修繕で最初に確認する資料
最初に、管理規約・団地規約等・建物配置図・棟別概要・長期修繕計画・修繕積立金関係資料・過去の工事履歴・会計区分等を確認します。建物の配置が似ていても、管理上の区分まで同じとは限りません。
- 管理規約
- 団地規約等
- 建物配置図
- 各棟の概要
- 長期修繕計画
- 修繕積立金に関する資料
- 過去の大規模修繕・改修履歴
- 総会議事録
- 会計区分
- 共用部分の範囲
建物配置が同じように見えても、管理上の区分まで同じとは限りません。
管理規約から共用部分・費用負担・意思決定等を確認する考え方は、別記事「大規模修繕で管理規約はどこを見る?分譲マンションの共用部分・費用負担・総会前の確認ポイント」で整理しています。
団地型マンションは「3つの縮尺」で大規模修繕を見る
団地全体、1棟、個別の工事項目という3段階に分けると、大規模修繕の範囲を整理しやすくなります。No.426では工事項目そのものを詳しく解説するのではなく、どの縮尺で何を確認するかを整理します。
さらに1棟へ近づく
さらに工事項目へ近づく
大規模修繕の全体像や工事項目については、マンション大規模修繕の工事内容や全体の進め方をご確認ください。
団地全体で確認したい工事・条件は何?
各棟の工事内容だけでなく、工事車両の動線、資材搬入、仮設事務所、資材置場、団地内道路、駐車場、共通設備、外構、住民動線、全体工程等が大規模修繕へ影響する場合があります。
すべての団地に同じ施設・設備があるわけではありません。
重要なのは、棟の外側にも大規模修繕へ影響する条件があるという点です。
建物だけを見て見積を作らない
複数棟の工事では、施工会社がどこから資材を搬入するか、工事車両をどこへ入れるか、住民の歩行経路をどう確保するか等が工事計画に関係する場合があります。
同じ団地でも、棟ごとに工事内容が違うことはある?
あります。築年・階数・戸数・外壁面積・屋上面積・形状・設備・過去の修繕履歴・現在の劣化状況等が異なれば、施工数量や必要な修繕内容が異なる場合があります。
ここで、団地全体から一度A棟だけへ視点を近づけます。
A棟で必要な工事が、そのままB棟にも同じ数量・同じ仕様で必要になるとは限りません。
同じ時期に建てられた棟でも、劣化状態は同じとは限らない
同時期に建設された複数棟であっても、方角、日射、風雨、周辺環境、使用状況、過去の補修内容等によって、現在の状態が異なる可能性があります。
「同じ団地」より、「この棟の現在状態」を見る。
棟ごとの状態を把握する方法については、大規模修繕の建物診断に関する記事をご覧ください。
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
全棟の合計金額だけを見るのではなく、どの棟に、何の工事が入っているのかを見る。
団地型マンションは全棟同時に大規模修繕する?
全棟同時施工が必須とは限りません。棟ごとの劣化状況、工事数量、資金、仮設条件、施工体制、生活影響、長期修繕計画等を確認し、今回の施工時期を決めます。
・施工会社の体制
・共通仮設と棟別仮設
・必要な資金
・全体工期
・住民生活への影響
・棟別の劣化状況
・年度ごとの予算
・工事回数
・仮設条件
・長期修繕計画との関係
どちらが優れているかを一律に決めるものではありません。
「まとめた方が必ず安い」「分けた方が必ず住民負担が小さい」と単純には判断できません。
仮設費も「棟数×同じ金額」では考えない
棟が離れている場合、足場、仮設事務所、資材搬入、資材置場、仮設電気・水道、警備、交通整理等の条件が棟ごとに異なる場合があります。
そのため、「4棟だから足場費は1棟の4倍」といった単純計算では判断しません。
団地型マンションの大規模修繕費は、全戸で同じように負担する?
一律には決められません。団地全体の工事と特定棟の工事を区別したうえで、管理規約・団地規約等・管理対象・会計区分・修繕積立金・工事範囲・総会決議・契約内容等を確認します。
重要なのは、
団地全体の工事
と
特定棟の工事
を同じものとして扱わないことです。
また、すべての団地型マンションに「団地会計+棟別会計」があるとは限りません。
自分たちのマンションでは、今回の修繕費用をどの会計で管理しているか確認します。
工事範囲と費用負担の考え方については、大規模修繕の費用は誰が払う?修繕積立金・一時金・専有部分と管理組合の負担区分をご確認ください。
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
この表も、費用負担の正解を示す表ではありません。
それぞれの団地の規約・会計・工事範囲・決議内容を確認して整理するための表です。
複数棟の修繕時期は長期修繕計画でどう見る?
棟ごとの修繕予定を一枚の年表へ重ね、どの時期に資金需要が重なるかを確認します。棟ごとに同じ周期を設定することが目的ではありません。
これは固定周期を推奨する図ではありません。
一つの工事金額ではなく、複数年度の資金需要を見るための図です。
複数棟マンションでは、A棟の大規模修繕が終わった後に、B棟、C棟、共通設備等の修繕が続く場合があります。
そのため、今回だけでなく将来の資金需要も長期修繕計画へ戻して確認します。
長期修繕計画については、大規模修繕の長期修繕計画に関する記事をご覧ください。
団地型マンションの大規模修繕は誰が決める?
団地全体に関する工事と特定棟に関する工事では、管理規約上の意思決定区分が異なる場合があります。工事名称だけで判断せず、管理規約・団地規約等、対象となる共用部分、費用、総会の扱い、過去の決議等を確認します。
「団地だから団地全体の総会で決める」「A棟の工事だからA棟だけで決める」と、工事名称だけから決めることはできません。
また、すべての団地で同じ管理組織・同じ会計構造を採用しているわけでもありません。
自分たちの管理規約上、どの組織・総会・会計が今回の工事を扱うのか確認します。
団地内の施工動線
共用施設
全体工程
資金計画
棟間の工事調整
施工数量
外壁等の仕様
防水
設備
施工時期
最後に「今回の契約・決議」で一つの計画へ戻します。
総会決議の詳細は、大規模修繕の総会決議とは?管理組合が承認までに準備すべき内容と進め方をご確認ください。
普通決議・特別決議の考え方については、大規模修繕は普通決議?特別決議?総会で確認する工事範囲と決議要件をご覧ください。
複数棟マンションの見積は、総額だけ比較してよい?
総額だけでは比較しにくい場合があります。棟ごとの工事項目・施工数量・仕様と、共通仮設・設備・外構等の共通工事を分け、各社の見積対象棟や工事範囲をそろえて確認します。
例えば、
- A社はA~D棟すべてを見積
- B社はA~C棟までを見積
- C社は外構を別途扱い
という状態では、総額だけを並べても同じ条件の比較になりません。
「1団地の総額」から、「どの棟・どの工事へいくら」へ分解します。
大規模修繕の見積全体については、マンション大規模修繕の見積内容・内訳を確認する記事をご確認ください。
相見積もりの考え方は、大規模修繕の相見積もりに関する記事をご覧ください。
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
この表の目的は、金額そのものを掲載することではありません。
棟 × 工事項目 × 数量の構造を各社でそろえ、見積の中身を比較できるようにすることです。
団地マップに工事情報を載せる
ここまで整理した棟別工事・共通工事・工事時期を、最後に団地全体の配置へ戻して重ねます。建物一覧ではなく、一つの大規模修繕計画として見える状態にします。
時期:
時期:
工事:
時期:
時期:
工事:
団地型・複数棟マンションでは、全体の工事費だけを見るより、棟ごとの劣化・施工範囲・数量と、団地全体で共通する仮設や設備を分けて整理すると見積内容を確認しやすくなります。
複数棟の修繕時期や見積範囲を整理したい場合は、建物配置・長期修繕計画・見積書から確認できます。
棟数が多いと大規模修繕の工期も長くなる?
棟数だけで工期が単純比例するとは限りません。棟数、建物規模、施工数量、施工班、仮設条件、工程、同時施工範囲、天候、住民動線等によって変わります。
例えば複数棟がある場合でも、
- 複数棟を同時進行する
- 着工時期を少しずつずらす
- 同じ工種の施工班が棟を移動する
など、施工体制によって工程の組み方は変わります。
「4棟だから1棟の4倍の工期」といった計算では判断しません。
大規模修繕全体の工期については、大規模修繕の工期に関する記事をご確認ください。
複数棟工事では住民案内も棟ごとに分ける?
案内する内容によって、団地全体への案内と棟別案内を使い分けます。全体工期や団地内道路の使用等は全体案内、足場・バルコニー・窓・断水・住戸内立入り等は対象棟ごとの案内が必要になる場合があります。
工事車両
共通施設
団地内道路
共通する安全対策等
バルコニー
洗濯物
窓
断水
住戸内立入り等
全住戸へ同じ案内を一枚出せば十分、とは限りません。
一方、複数棟だから問い合わせ窓口も必ず棟ごとに分ける必要がある、ということでもありません。
重要なのは、住民が「誰へ聞けばよいか」で迷わないことです。
大規模修繕中の住民案内については、大規模修繕の住民案内に関する記事をご覧ください。
団地内道路・外構も大規模修繕の計画に入れる?
道路や外構を今回修繕するかどうかとは別に、建物間の道路・歩行者動線・植栽・駐車場・駐輪場・広場等が施工計画へ影響する場合があります。
No.426では外構工事そのものを詳しく解説しません。
確認したいのは、
建物工事
+
団地内の施工動線
を一緒に考えることです。
工事中の駐車場・駐輪場については、該当記事で詳細を確認します。
劣化が進んでいる棟だけ先に大規模修繕できる?
一律には判断できません。対象棟の劣化状況、管理規約・団地規約等、長期修繕計画、資金、工事範囲、必要な決議、他棟や共通仮設への影響等を確認します。
必要性が高い棟があるからといって、必ず全棟が同じ時期まで待たなければならないとは限りません。
反対に、「その棟だけだから自由に工事できる」とも判断できません。
今回の工事が、
- どの管理対象に含まれるか
- どの資金を使用するのか
- どの手続きで決定するのか
- 共通仮設や他棟の工程へ影響するか
を確認します。
一部棟の工事を先送りする場合も、費用だけで決めない
現在の劣化、漏水・剥落等の状態、応急対応の必要性、次回確認時期、資金計画、次回工事との関係等を確認します。
先送りすること自体が直ちに不適切、という意味ではありません。
重要なのは、なぜ今回施工しないのか、その判断経緯を次の計画へ残すことです。
最後に、もう一度団地全体へ戻る
棟ごとの工事・時期・数量を確認したら、最後に共通工事・全体予算・決議・長期修繕計画へ戻します。団地を「建物の集合」ではなく、複数年度の一つの修繕計画として見ます。
第1期:外壁+防水
第2期:外壁等
工事時期を全体計画へ反映
第1期:防水+鉄部等
次回調査・工事時期を検討
最初に見たA棟・B棟・C棟・D棟という配置へ、今度は工事範囲・時期・資金・意思決定が加わりました。
団地を建物の集合ではなく、複数年度の修繕計画として見る。
これが、団地型・複数棟マンションの大規模修繕を整理するときの重要な視点です。
ワンリニューアルでは、団地型・複数棟マンションを「棟数が多い一つの建物」としてまとめるのではなく、団地全体の共通条件と、棟ごとの劣化・数量・工事時期を分けて整理したうえで、一つの大規模修繕計画へ戻すことを重視しています。
まとめ|団地型マンションは「全体」と「棟別」を行き来して考える
団地型・複数棟マンションの大規模修繕では、「全棟をまとめて施工するか」「棟ごとに施工するか」という二択から始める必要はありません。
まず団地全体を見ます。
団地型マンションの大規模修繕では、「全体」と「棟別」のどちらか一方だけを見ません。
全体から棟へ、棟から再び全体へ戻ることで、工事・費用・意思決定を一つの計画にします。
マンション大規模修繕全体の進め方を確認することで、団地型・複数棟マンションの計画を大規模修繕全体の流れへ戻して確認できます。
分譲マンション向けの大規模修繕については、分譲マンションの大規模修繕サービスもご覧ください。
「棟ごとの工事範囲を整理したい」「全体見積から各棟の金額・数量を確認したい」「複数棟の修繕時期と長期修繕計画を整理したい」など、建物配置・診断資料・見積書・長期修繕計画等を基に、大規模修繕全体を整理できます。
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