50~70戸マンションの大規模修繕費用は延べ面積でどう変わる?戸数だけでは分からない工事数量の見方

『50~70戸マンションの大規模修繕費用は延べ面積でどう変わる?戸数だけでは分からない工事数量の見方』
をご紹介させて頂きます!
50~70戸程度のマンションで大規模修繕を検討するとき、「同じ60戸前後なのに、なぜ他のマンションと工事費が違うのか」と疑問を持つ管理組合は少なくありません。
費用を考えるときは、次の5つを順番につなげて確認することが大切です。
- ① 戸数
- ② 延べ面積
- ③ 建物形状・階数
- ④ 工事別の施工数量
- ⑤ 劣化状況・工事仕様
目次
50~70戸マンションの大規模修繕費用は戸数だけでは分からない
戸数は、マンションの規模を大まかに把握する入口として役立ちます。しかし、50戸・60戸・70戸という数字から、実際の工事数量や見積金額を直接算出することはできません。
同じ60戸程度でも、1住戸あたりの広さ、階数、建物形状、共用廊下やバルコニーの構成が異なれば、建物全体の規模と施工対象の広さは変わります。さらに、設備、劣化状態、今回実施する工事項目によっても費用差が生じます。
50~70戸マンションの費用を広く整理したい場合は、直接親記事となる50~70戸マンションの大規模修繕費用はどう考える?戸数・延べ面積・工事項目・修繕積立金から予算を整理をご確認ください。本記事では、その中でも延べ面積と施工数量の関係に絞って解説します。
延べ面積とは?大規模修繕費用との関係
延べ面積とは、一般に建物各階の床面積を合計し、建物全体の規模を把握するために使う指標です。資料によっては「延床面積」と記載されている場合もあります。
50~70戸という戸数が近くても、各住戸の床面積や共用部分の広さが違えば、延べ面積は同じになりません。そのため、戸数だけを比べるより、建物規模の違いを把握しやすくなります。
ただし、延べ面積は外壁、防水、足場などの施工面積そのものではありません。建物規模を見る材料にはなりますが、「延べ面積×一律の㎡単価=大規模修繕費用」ではない点に注意が必要です。
延べ面積と実際の施工面積は同じではない
大規模修繕の見積では、工事項目ごとに対象部位と数量を確認します。延べ面積が一つ分かれば、すべての工事数量が決まるわけではありません。
たとえば延べ面積が近い建物でも、横長の低層マンション、縦長の建物、凹凸が多い建物、複数棟に分かれたマンションでは、外周部の形状や施工条件が異なります。その結果、外壁、足場、防水などの数量が同じになるとは限りません。
同じ60戸程度でも大規模修繕費用が違う理由
同じ60戸程度のマンションで費用差がある場合は、戸数以外の条件を一つずつ分けて確認します。主な違いは次の8項目です。
- 1住戸あたりの床面積:住戸の広さが違えば、戸数が同じでも建物規模は変わります。
- 階数:建物の高さは、足場、資材搬入、作業方法などの施工条件に関係します。
- 建物形状:横長、縦長、L字型、凹凸が多い形、複数棟などで外周や作業範囲が異なります。
- 外壁・バルコニーの構成:塗装面、タイル面、手すり、シーリング目地などの構成によって工事項目と数量が変わります。
- 共用部分の規模:共用廊下、階段、エントランス、屋上などの広さや数を確認します。
- 設備:エレベーター、機械式駐車場、給排水設備などを今回の工事へ含めるかで費用構成が変わります。
- 劣化状況:ひび割れ、タイルの浮き、漏水などの状態によって補修数量が変わります。
- 工事仕様:採用する材料、工法、仕上げ、検査方法などによって単価や工程が異なります。
費用差を確認するときは、「どちらが高いか」だけでなく、建物条件、工事範囲、施工数量、仕様のどこに違いがあるのかを見ます。
外壁面積が増えるとどの工事に影響する?
外壁面積は、外壁に関係する複数の工事項目を考える材料になります。主なものは、外壁下地補修、外壁塗装、タイル補修、シーリング、足場などです。
ただし、外壁面積が分かれば各工事の数量がすべて決まるわけではありません。塗装仕上げとタイル仕上げの割合、窓や扉などの開口部、目地の配置、実際の劣化範囲によって、対象となる数量は変わります。
特に下地補修やタイル補修は、着工前の調査数量と、足場設置後の詳細調査で確認される実際の数量に差が出る場合があります。どの数量が確定していて、どの項目が工事中に精算される予定なのかも確認します。
補修数量を考える前段階となる建物調査については、大規模修繕の建物診断とは?管理組合が工事前に確認すべき劣化状況と判断ポイントをご覧ください。
足場面積は延べ面積からそのまま計算できる?
延べ面積と足場面積は同じものではなく、延べ面積からそのまま置き換えることはできません。足場は、建物の外周、高さ、形状、設置する範囲、敷地や隣地との関係などの影響を受けます。
延べ面積が近くても、低層で横に広い建物と、階数が高く外周が比較的短い建物では、足場の計画が異なります。中庭、セットバック、庇、渡り廊下などがある場合も、設置条件を個別に確認します。
管理組合は、足場の㎡数だけでなく、どの外周に設置するのか、対象外の場所はあるのか、追加の仮設設備が必要かを図面や見積書で確認します。足場工事そのものの考え方は、大規模修繕の足場工事とは?工程初期に管理組合が確認したいポイントも参考にしてください。
防水工事の面積は何を確認する?
防水工事では、屋上だけでなく、ルーフバルコニー、各住戸のバルコニー、共用廊下などが対象になる場合があります。どの部位を、どの範囲まで施工するかによって数量が変わります。
同じ延べ面積のマンションでも、屋上の形状、住戸ごとのバルコニー面積、ルーフバルコニーの有無、共用廊下の形式は同じとは限りません。そのため、延べ面積が広いほど防水面積も同じ割合で増えるとは判断できません。
見積書では、「防水工事」という総称だけでなく、施工場所、面積、工法、下地処理、既存防水層への対応まで確認します。また、今回全面的に施工する範囲と、部分補修にする範囲を分けて見ます。
面積だけでは分からない「数量」の工事もある
大規模修繕の見積数量は、すべて㎡で表されるわけではありません。工事項目によって、長さ、箇所、台数、実際の補修数量など、異なる単位が使われます。
- シーリング:外壁目地やサッシまわりなどの施工長さをmで確認する場合があります。
- 鉄部:扉、手すり、配管などを箇所、数量、面積等で確認します。
- 下地・タイル補修:ひび割れの長さ、欠損箇所、浮きの面積、タイル枚数など、劣化内容に応じた数量を確認します。
- 設備:機器の台数、配管系統、交換箇所などを確認します。
このため、大規模修繕全体を一つの面積単価だけで比べると、工事範囲や数量の違いが見えにくくなります。単価を見る前に、「何の工事を、どの単位で、どれだけ施工するのか」を確認することが重要です。
数量の前提となる工事範囲を整理したい場合は、50~70戸マンションの大規模修繕はどこまで工事する?対象範囲・優先順位・予算の決め方をご確認ください。
見積書では面積・数量のどこを見る?
管理組合が見積書を確認するときは、「㎡が多いか少ないか」だけで判断しません。何の工事に対する数量で、どこを施工し、どの仕様を使うのかをセットで確認します。
管理組合が施工会社と同じ精度ですべての数量を積算する必要はありません。ただし、数量が何を示し、施工範囲や仕様とどのようにつながっているかは質問できる状態にしておきます。
見積書全体の読み方は大規模修繕の見積もりはどこを見る?見積書の内訳・比較・確認ポイント、50~70戸マンションで複数社を比較する段階は50~70戸マンションの大規模修繕見積もりはどう比較する?管理組合が確認すべき費用内訳・工事範囲・判断ポイントで詳しく解説しています。
㎡単価の高低だけを見るのではなく、建物条件、工事範囲、施工数量、仕様をつなげて確認すると、他マンションや別会社との費用差を整理しやすくなります。
他マンションの大規模修繕費用を比較するときの注意点
他マンションの工事費は、自分たちの予算規模を考える参考情報にはなります。ただし、戸数だけが近い事例を、そのまま自分たちのマンションへ当てはめることはできません。
比較するときは、戸数に加え、延べ面積、階数、棟数、建物形状、工事項目、施工範囲、築年数、劣化状態、工事時期を確認します。可能であれば、外壁や防水の数量、設備工事を含むかどうか、足場条件も見ます。
条件が異なる二つの工事を総額だけで比べても、差額の理由は分かりません。「同じ60戸なのに高い・安い」と結論づけず、何をどれだけ施工した工事なのかを確認してください。
50~70戸マンションの予算を考えるときの確認順序
予算を考えるときは、戸数から相場を探して終えるのではなく、建物状態と工事内容を見積金額へつなげます。
- 戸数を確認する:50~70戸という規模感を把握します。
- 延べ面積・建物規模を確認する:図面や建物概要から、床面積、棟数、共用部分などを整理します。
- 建物形状・階数を確認する:外周、高さ、凹凸、敷地などの施工条件を確認します。
- 建物診断を行う:劣化している部位、範囲、進行状況を把握します。
- 必要な工事範囲を整理する:今回実施する工事、部分補修、経過観察、将来更新に分けます。
- 工事別数量を確認する:外壁、足場、防水、シーリング、補修などを工事項目ごとに確認します。
- 見積・費用を確認する:数量、単価、仕様、対象外、精算条件を照合します。
- 資金計画と照合する:見積金額を修繕積立金や今後の修繕計画と照らし合わせます。
この順序で整理すると、「戸数×相場」で予算を決めるのではなく、自分たちのマンションに必要な工事から費用を確認できます。大規模修繕費用全般の考え方は、大規模修繕の費用相場はいくら?国交省調査と見積総額の比べ方も参考にしてください。
50~70戸マンションの延べ面積と大規模修繕費用に関するよくある質問
延べ面積は建物規模を把握する目安です。実際の工事費は、外壁、足場、防水、シーリングなど工事項目ごとの施工数量、仕様、施工条件をもとに積み上げられます。
一律には比較できません。住戸面積、階数、建物形状、外壁や共用部分、設備、劣化状態、工事範囲、仕様などが異なるためです。
同じではありません。延べ面積は建物各階の床面積を合計した規模指標で、外壁工事では実際の外壁施工範囲を別に確認します。
同じではありません。足場面積は、建物外周、高さ、形状、設置範囲、敷地条件などの影響を受けます。
㎡単価だけでは、工事範囲、数量、仕様、施工条件の違いが分かりません。何の工事に対する単価かを確認し、比較条件をそろえて見ます。
参考情報にはなりますが、そのまま自分たちの予算にはできません。延べ面積、階数、形状、工事項目、施工範囲、劣化状態、工事時期などの条件差を確認してください。
すべてを自ら積算する必要はありませんが、工事項目、単位、数量、施工範囲、仕様がどのようにつながっているかを確認し、根拠を質問できる状態にします。
戸数から施工数量へ分解して大規模修繕費用を確認する
50~70戸マンションの大規模修繕費用を考えるとき、戸数は予算検討の入口になります。しかし、具体的な費用判断へ進むには、延べ面積、建物形状、階数、工事対象部位、施工数量、仕様へ分解して確認する必要があります。
延べ面積は建物規模を把握する指標であり、外壁面積、足場面積、防水面積と同じではありません。また、シーリング、下地補修、鉄部、設備のように、㎡以外の単位で数量を見る工事もあります。
管理組合が目指すのは、一律の面積単価から正確な総工事費を出すことではありません。自分たちのマンションで「何を、どこまで、どれだけ、どの仕様で施工するのか」を整理し、見積金額の根拠を説明できる状態にすることです。
正確な大規模修繕費用は、戸数や延べ面積だけでは決まりません。建物の面積、形状、劣化状態、工事範囲、施工数量を確認し、見積内容と対応させることが大切です。
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