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修繕積立金の平均額と全国相場|築年数・規模別に徹底比較

費用・見積・資金計画 2026.10.14 (Wed) 更新

修繕積立金の平均額と全国相場|築年数・規模別に徹底比較

 

国土交通省「令和5年度マンション総合調査」(2024年6月公表)では、修繕積立金の全国平均は13,054円/戸・月です。これは駐車場使用料等からの充当額を除いた調査時点の実態値で、2026年の新規調査結果や個別マンションの適正額ではありません。建物規模、築年数、設備、長期修繕計画を合わせて確認します。

この記事で整理する判断軸

  • 築年数
  • 戸数・規模
  • 長期修繕計画の内容
  • 過去修繕の履歴
  • 足場・防水・外壁など重い工事項目
  • 設備更新の有無
  • 将来の資金不足リスク

 

結論|修繕積立金の平均額は目安になるが、それだけでは足りない

国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、修繕積立金の月額平均は13,054円/戸です。全国の実態を示す参考値であり、建物ごとの適正額ではありません。

たとえば、外壁が全面タイルなのか吹付仕上げなのか、屋上防水の納まりが複雑なのか、エレベーターや機械式駐車場があるのか、給排水設備の更新が近いのかで、将来必要になる支出は大きく変わります。さらに、足場が組みにくい敷地や、風雨の影響を受けやすい立地、近隣条件が厳しい建物では、工事費の前提も変わります。

つまり、平均額は「今の水準が極端にずれていないか」を見る入口であって、最終判断ではありません。実務では、平均より高いか安いかではなく、今後必要な工事を本当に支えられる水準かで考える方が実態に合います。

平均額を見る人が本当に知りたいのは、「自分の建物は足りているか」です。そこに答えるには、相場表だけでなく、長期修繕計画や将来支出との整合まで確認する必要があります。

 

修繕積立金の平均額・全国相場とは

国交省の令和5年度調査では、月額平均13,054円/戸、使用料等からの充当額を含む平均は13,378円/戸です。別々の集計値であり、足し合わせません。

※ 表は左右にスクロールして比較できます

調査項目
全国平均
調査年度・条件
修繕積立金(月額)
13,054円/戸
令和5年度マンション総合調査・使用料等からの充当額を除く
使用料等からの充当額を含む修繕積立金
13,378円/戸・月
同調査・駐車場使用料等からの充当額を含む
出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状」(2024年6月公表)。
国土交通省の調査結果(PDF)を見る

調査対象は分譲マンションの管理組合等で、表示額は令和5年度調査の月額平均です。2つの金額は異なる集計方法による値で、合算しません。賃貸一棟マンションの資金準備額には直接当てはめられません。

修繕積立金の平均額とは、調査対象となったマンションの積立状況を集計した参考水準です。月額の平均値には、1戸当たりの金額と専有面積1㎡当たりの単価など、異なる比較方法があります。

全国平均13,054円/戸・月は、調査時点で実際に積み立てられている金額の平均です。すべてのマンションでこの金額が必要、あるいは十分であるという意味ではありません。

また、修繕積立金は管理費とは役割が違います。管理費は日常の維持管理や運営などに使われる費用であり、修繕積立金は将来の外壁、防水、シーリング、鉄部、共用設備などの修繕工事に備える資金です。

全国相場を見る際の確認事項

・国交省調査の全国平均は、調査時点の実態値

・ガイドラインの㎡単価は、長期修繕計画上の参考値

・1戸当たり月額と専有面積1㎡当たり月額は異なる

・平均額だけで個別マンションの不足・適正を断定しない

 

築年数・規模別でどう違うのか

築年数別の全国共通の適正額はありません。規模別には国交省が長期修繕計画事例に基づく㎡単価の目安を公表していますが、現在の月額とは算定条件が異なります。

修繕積立金の水準は、築年数や建物規模によって違いが生じます。築年数が進むと、外壁、防水、シーリング、鉄部だけでなく、設備更新も検討対象になる場合があります。ただし、築年数だけで必要額が決まるわけではありません。過去の修繕履歴や長期修繕計画の内容によっても変わります。

規模の面では、小規模マンションほど1戸当たりの負担が大きくなる場合があります。一方、大規模マンションでも、共用設備や附属施設の更新費が増えることがあります。戸数だけでなく、建築延床面積、総専有床面積、設備の構成を確認します。

次の数値は、国土交通省が長期修繕計画の事例から算出した計画期間全体の月額㎡単価の目安です。全国平均13,054円/戸とは対象・単位・算出方法が異なります。

※ 表は左右にスクロールして比較できます

地上20階未満の建築延床面積
平均値(円/㎡・月)
事例の3分の2が含まれる幅(円/㎡・月)
5,000㎡未満
335円
235~430円
5,000㎡以上10,000㎡未満
252円
170~320円
10,000㎡以上20,000㎡未満
271円
200~330円
20,000㎡以上
255円
190~325円
出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改訂)8ページ。
国土交通省ガイドライン(PDF)を見る

長期修繕計画366事例に基づく参考水準で、機械式駐車場の修繕工事費は除かれています。建築延床面積は表の区分に使う面積であり、㎡単価の分母となる総専有床面積とは異なります。現在の毎月の徴収額と単純比較して適正・不足を断定しないようにしてください。

築年数が同じマンションでも、前回の大規模修繕の実施内容、設備更新、長期修繕計画、今後の工事範囲によって必要な資金は異なります。

以下は、既存記事で説明していた築年数・規模別の確認事項です。全国共通の適正積立金額を示すものではありません。

※ 表は左右にスクロールして比較できます

条件
平均の見え方
不足しやすさ
確認ポイント
築浅〜築10年前後
月額が低めに見えやすい
初回大規模修繕への備えが薄いと不足しやすい
新築時の設定額が低いまま据え置かれていないか
築10〜20年
初回大規模修繕を意識した水準が必要
外装・防水中心でも不足が表面化しやすい
外壁、防水、シーリングの工事費を支えられるか
築20〜30年
平均より高く見えても不自然でないことがある
設備更新が重なると不足しやすい
給排水、共用電気、防犯設備などが抜けていないか
小規模マンション
1戸あたり負担が高めに見えやすい
足場や共用設備の分担が重くなりやすい
戸数に対して重い共用設備がないか
中〜大規模マンション
1戸あたりは抑えやすいことがある
設備更新がまとまると総額が重くなる
台数の多い設備や附属施設が将来支出を押し上げないか

このように、築年数と規模は重要ですが、それだけで判断は完結しません。築20年を超える建物では、外装だけでなく給排水や共用設備の更新を検討する場合もあります。平均額との差よりも、これから何の工事が必要になるかを見ることが実務的です。

 

平均額だけでは判断しにくい理由

全国平均は調査時点の積立実態、ガイドラインの㎡単価は計画期間全体の参考水準です。どちらも個別の必要額を直接示さないため、残高・将来の工事費と照合します。

平均額だけで判断しにくい最大の理由は、マンションごとに将来支出の中身が違うからです。たとえば、同じ築15年でも、過去に防水やシーリングの補修を行ってきた建物と、先送りが続いた建物では、今後必要な工事が異なります。

また、足場、防水、外壁といった工事項目は、建物形状や立地条件の影響を受けます。風雨・日射・排水条件で特定部位の劣化が進む建物や、隣地が近接して仮設条件が難しい建物では、平均的な前提だけでは工事費を判断できません。

さらに、設備更新の有無も見落とされやすい点です。給排水、エレベーター、機械式駐車場、防犯設備などの更新が重なる場合、外壁や防水工事だけを想定した資金計画では不足が生じることがあります。

※ 表は左右にスクロールして比較できます

要因
なぜズレるか
放置すると何が起きるか
次に見るべきこと
長期修繕計画が古い
工事費や設備更新が反映されていない
相場内でも将来不足しやすい
計画の更新年、工事項目、概算費用
過去修繕が薄い
先送り分が次回に重なりやすい
一時金や借入が必要になりやすい
前回工事の範囲、見送った項目
設備更新が抜けている
外装中心で考えてしまう
平均内でも実際には足りない
給排水、機械設備、共用電気の更新時期
工事条件が重い
足場・仮設・近隣配慮の難易度が高い
工事費が上振れしやすい
敷地条件、動線、立地、建物形状

 

不足しやすいマンションの特徴

積立金が長期間据え置かれ、長期修繕計画に設備更新や劣化状況が反映されていない建物は、将来の資金不足を確認する必要があります。ただし、不足は個別の資金収支で判断します。

修繕積立金が不足しやすいマンションには、積立額が長期間据え置かれている、必要な設備更新が計画に反映されていない、前回の工事で実施しなかった修繕が残っているといった特徴があります。

築年数が進んでいても、適切に修繕を行い、将来の資金収支を確認しているマンションもあります。したがって、築年数だけで不足を断定することはできません。

築年数ごとの不足確認は、修繕積立金が不足しやすい築年数と確認事項で詳しく整理しています。

不足の可能性を確認したいケース

・築年数が進んでいるのに積立額の見直しがない

・小規模で1戸当たりの共通費負担が大きい

・設備更新と大規模修繕が同時期に重なる

・長期修繕計画が古く、将来支出が反映されていない

・過去の修繕履歴が計画に十分反映されていない

 

長期修繕計画とどうつなげて見るべきか

全国平均と比較した後は、長期修繕計画に記載された工事項目、実施時期、見込費用を確認し、積立残高・今後の収入との整合を調べます。

修繕積立金の全国平均を確認した後に必要なのが、長期修繕計画との照合です。平均額は他のマンションの状況を知るための数値ですが、実際の資金計画は個別の建物条件によって決まります。

実際の施工費を確認する際は、大規模修繕の費用相場と見積総額も参考になります。

長期修繕計画を見る際は、外壁、防水、シーリング、鉄部だけでなく、給排水、共用電気、防犯設備、昇降設備などの更新予定も確認します。

また、工事時期が近づいた場合は、過去の計画上の概算金額だけでなく、建物診断結果と実際の施工条件を踏まえた見積を確認することが重要です。

平均額を確認する
まず、現在の積立額が全国の調査結果とどのように違うかを把握します。
築年数・規模を確認する
戸数、建築延床面積、総専有床面積、設備の構成を整理します。
長期修繕計画を確認する
今後の工事項目、実施時期、想定費用を確認します。
重い工事項目を確認する
足場、防水、外壁、設備更新などの条件を確認します。
資金収支を照合する
現在の積立残高と将来の積立収入を確認し、工事時期に必要な資金を確保できるか検討します。

 

管理組合・オーナーは何を見て判断するべきか

分譲マンションの管理組合は長期修繕計画と積立状況を確認します。一棟賃貸オーナーは保有・収支・資金準備を別の枠組みで判断し、分譲マンションの全国平均を直接適用しません。

管理組合では、修繕積立金の議論は合意形成と関係します。全国平均だけを示しても、「なぜ増額が必要なのか」「現在の積立額で足りるのか」を十分に説明することはできません。

そのため、将来の工事費、設備更新、積立残高、今後の収入見込みを整理し、必要額の根拠を確認します。

工事時期が近い場合は、大規模修繕の見積内訳・数量・仕様の確認を参考に、資金計画と見積条件を照合しましょう。

一棟オーナーの場合は、賃貸収入、借入返済、空室、保有期間、将来の修繕資金との整合を確認します。分譲マンションの修繕積立金制度と、一棟オーナーの修繕資金準備は同一の制度ではありません。

いずれの場合も、全国平均だけで判断を終えず、実際に必要な工事と、その工事を実施するための資金が確保できるかを確認することが重要です。

 

まとめ

修繕積立金の全国平均13,054円/戸・月と、国交省ガイドラインの㎡単価は別の指標です。平均額を入口に、実際の工事費と資金計画の整合を確認することが重要です。

修繕積立金の全国平均は、現在の積立額を比較するための参考情報です。一方、ガイドラインの㎡単価は、長期修繕計画の事例から求めた計画期間全体の参考水準です。

どちらの数値も、そのまま個別マンションの適正額にはなりません。築年数、建物規模、過去の修繕履歴、設備更新、今後の工事費を確認し、現在の積立状況と照合する必要があります。

修繕積立金が十分かどうかをより具体的に確認したい場合は、必要額の計算方法や築年数別の不足確認を解説する関連記事も参考にしてください。


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