なぜ修繕積立金の値上げが必要なのか?管理組合が押さえる説明ポイント
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『なぜ修繕積立金の値上げが必要なのか?管理組合が押さえる説明ポイント』
をご紹介させて頂きます!
目次
なぜ修繕積立金の値上げが必要なのか?管理組合が押さえる説明ポイント
管理組合がもっとも頭を悩ませるテーマ、それが 「修繕積立金の値上げ」です。
住民説明を行っても反対意見が出やすく、多くの理事会が次のような悩みを抱えています。
- なぜ今値上げが必要なのか説明が難しい
- 値上げしなくてもなんとかなるのでは?という住民が多い
- 数字の根拠を求められ説明に困る
- “値上げ=管理組合が無計画”と言われてしまう
しかし、修繕積立金の値上げは「避けられない悪」ではありません。 むしろ、建物を守り、資産価値を維持するための合理的かつ必然的な判断です。
本記事では、値上げが必要となる根拠と、住民説明で押さえるべきポイントを分かりやすく整理していきます。
なぜ修繕積立金の値上げが必要になるのか?“3つの要因”で理解する
値上げが必要になる理由は複雑に見えますが、構造的には次の3つに集約できます。
- ① 新築時の積立金が低く設定されている(初期の歪み)
- ② 工事費・物価上昇に積立ペースが追いつかない
- ③ 長期修繕計画のズレが発生している
それぞれ詳しく見ていきます。
① 新築時の積立金が“意図的に低く”設定されている
もっとも大きな盲点が、日本の新築マンションにおける“営業戦略”です。
販売時、月々のランニングコストを低く見せるため、修繕積立金は 本来の適正額より30〜50%低く設定されることが多くあります。
そのため、以下のような状況が全国で頻発しています。
- 築10〜15年 → 初回大規模修繕費が不足
- 築20〜30年 → 計画が赤字化し値上げが不可避
値上げが必要なのは“管理組合が失敗したから”ではなく、最初の設定に無理があったから。
この視点は住民説明の場で非常に重要です。
② 工事費・物価が上昇し、積立ペースが追いついていない
近年は建設関連コストが上昇しており、マンションの工事費も10年で1.3〜2倍になっています。
- 外壁補修:1.3〜1.8倍
- シーリング:1.3倍前後
- 屋上防水:1.2〜1.5倍
- 足場:1.3〜1.6倍
物価や人件費が上昇しているため、 10年前の積立ペースでは工事費に対応できない構造になっています。
③ 長期修繕計画が現実に合っていない
古い長期修繕計画では、以下の“ズレ”が原因で不足が生じます。
- 工事周期が長すぎる/短すぎる
- 工事単価が現場と一致しない
- 劣化状況が反映されていない
- 過去の工事履歴を踏まえていない
これらは管理組合の失敗ではなく、“古くなった計画”の限界です。
そのため、値上げは「計画を最新化するための必要措置」と言えます。
住民が納得する“説明の順番”が重要
住民説明で反発が出るのは、理由を説明する順番が悪いことが多いです。
正しい説明順は以下の5ステップです。
ステップ①|「なぜ工事が必要か」から話す
値上げの話を先にすると拒否されます。 まずは建物の劣化と必要工事を示すことから始めます。
- 外壁タイルの浮き・剥落
- シーリングの破断
- 屋上防水の劣化
- 鉄部の腐食
写真を提示すると理解が一気に進みます。
ステップ②|工事費が“どのくらいかかるのか”を示す
例:「外壁補修 + 防水 + 鉄部塗装 → 8,000万円」
数字を出すことで、負担額の根拠が伝わりやすくなります。
ステップ③|“現在の積立金では足りない”という事実を示す
「足りない」と言うだけでは反発が起きます。
以下の図を住民に見せるだけで、理解度は大幅に上がります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 必要工事費 | 8,000万円 |
| 積立残高 | 5,200万円 |
| 不足額 | 2,800万円 |
ステップ④|“なぜ不足するのか”を構造で説明
住民がもっとも知りたいのは、「誰の責任か?」です。
ここで以下の客観的理由を説明します。
- 新築時の設定が低すぎた
- 工事費が10年で1.3〜2倍に上昇した
- 長期修繕計画が古く劣化を反映していなかった
管理組合の責任にせず、構造問題として説明することが合意形成のコツ。
ステップ⑤|値上げ後の“未来シミュレーション”を示す
値上げの話は最後でOK。
例: ・月2,000円値上げ → 10年後に赤字解消 ・月3,500円値上げ → 次回大規模修繕まで黒字維持 ・値上げしない場合 → 5年後に積立金が枯渇
このように「選択肢」を提示することが重要です。
値上げの説明で押さえるべき“心理ポイント”
① 「値上げ=負担増」ではなく「建物の保険料」と説明する
住民は「なぜ払う必要があるのか」を知りたいだけです。
そこで、 “将来の工事費を今のうちに分散して払うのが修繕積立金” と説明すると理解が進みます。
② 「値上げしないリスク」を可視化する
値上げを拒否した場合:
- 工事延期 → 劣化悪化 → 工事費上昇
- 一時金の発生(10〜100万円)
- 借入による長期的負担
- 資産価値の下落
特に資産価値の説明は住民が納得しやすいポイントです。
③ 「誰のせいでもない構造的問題」と伝える
感情的な対立を避けるため、責任の所在を曖昧にしないこと。
根拠としては、
- 国の調査でも8割が積立不足傾向
- 全国的な工事費高騰
- 新築設定の構造的問題
これらを伝えることで、理事会への不信感が減少します。
値上げを“成功”させるためのプロセス
① 建物診断で“事実”を集める
感情ではなく、写真・データで話を進めるのが最重要。
ワンリニューアルの強み
国家資格者が現場を診断し、劣化箇所を視覚化した資料を作成します。
② 長期修繕計画を最新化する
計画が古いままでは、住民は納得できません。
③ 収支シミュレーションを複数パターン作る
例:
- 月1,500円値上げ案
- 月3,000円値上げ案
- 月5,000円値上げ案
“選べる形”にすると反対意見が激減します。
④ 説明会で分かりやすく伝える
資料のポイント:
- 専門用語を使わない
- 数字と図解を中心に話す
- 他物件の事例を示す
まとめ|修繕積立金の値上げは“正しい判断”であり、将来負担を減らす行動である
値上げはネガティブに捉えられがちですが、本質は次の3つです。
- 建物の劣化を止めるための必要処置
- 将来の工事費を平準化するための仕組み
- 資産価値を守るための最善策
そして値上げの成功には、
- 事実にもとづく説明
- 数字の根拠
- 住民が選べる複数案
この3つが欠かせません。
ワンリニューアルでは、建物診断から計画策定、シミュレーション、説明会資料まで 合意形成のプロセスをトータルで支援しています。
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